カメラが捉えた、林冠横断橋を渡る野生ザル アマゾン川流域で絶滅種の交通事故を防ぐ取り組み

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アマゾンに橋を建設 霊長類の保護を目的に ブラジル

(CNN) ブラジルの生物学者フェルナンダ・アブラ氏が、世界で絶滅の危機に瀕(ひん)している霊長目25種に含まれるティティモンキーの一種を初めて見たのは、道路のすぐそばだった。交通事故で死ぬ危険にさらされていたと同氏は振り返る。

数字は大きくばらつくが、ある推計によれば、ブラジルでは毎年4億7500万頭の脊椎(せきつい)動物が車にひかれて死んでいる。同国は世界で4番目に大きい道路網とアマゾンの熱帯雨林を有する。

スミソニアン保全生物学研究所の保護と持続可能性センターの博士研究員であるアブラ氏は、樹上性種が安全に道路を横断できるよう林冠の高さに橋を建設することで、この問題を解決しようとしている。

アブラ氏のプロジェクトは、ブラジルのアマゾナス州とロライマ州に生息する野生生物に関して重要な知識を持つ先住民族を含む現地のパートナーと協力して、アマゾンを横切る全長3300キロの幹線道路「BR―174」に30以上の林冠横断橋を建設した。

アブラ氏は、この橋が、先のティティモンキー種やクロクモザルなどブラジルの脆弱(ぜいじゃく)で絶滅の危機に瀕している種の状況を改善するのに役立つことを期待している。

それぞれの橋には動物の様子を観察するためのカメラが取り付けられている。橋を渡る個体もいれば、近づいても引き返してしまう場合があることも分かるため、動物たちが渡れるよう橋の設計を見直すことができる。

アブラ氏は、この橋を使っているサルの映像を見るたびに、道路での死亡事故を回避できて素晴らしいと感じると話す。

人間が建設したインフラによって分断された森林をつなぎ直すことは、動物がより多くの食料資源や交配相手を手に入れることができるようになるといった他の利点ももたらす。

世界各地でも同様の手法が採用されている。米カリフォルニア州では、国道101号線の上に陸橋の建設が進められており、クーガーやコヨーテ、ボブキャットなどが安全に行き来できるようになる見通しだ。

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