絶滅の危機から1万キロ避難、オス11匹から赤ちゃんガエル「誕生」 英動物園
ロンドン(CNN) 英ロンドン動物園は3日、南米チリから1万1000キロを旅してやって来たカエルのオス11匹から、赤ちゃんガエル33匹が「誕生」したと発表した。
ロンドン動物園で繁殖しているのはチリ沖の島にあるタンタウコ公園に生息していた「ダーウィンハナガエル」。同地で真菌感染が拡大して深刻な絶滅の危機にさらされ、種を保全する目的で地球の裏側にある英国の動物園に輸送された。
ダーウィンハナガエルは、オスが小さなオタマジャクシを口の中に入れ、カエルになるまで守り続けるユニークな生態で知られる。ナショナル・ジオグラフィック誌によれば、オタマジャクシがカエルになると、オスは3匹~7匹を次々に口から吐き出す。
ダーウィンハナガエルは成体でも体重2グラム足らず、体長3センチ足らずと小さいことから、森林の中で発見するのは極めて難しい。
メスの産んだ卵は、オスが口の中に入れて守り育成する/Benjamin Tapley
タンタウコ公園の密林はかつて、ダーウィンハナガエルにとって最適の生息地だった。しかし世界中の両生類を襲うツボカビの影響で、個体数が激減した。
そこで2024年10月、この種をツボカビから守って繁殖させるため、健康な52匹をロンドン動物に移すことになった。
道のりは長かった。まず船で6時間かけて本土へ移動し、そこからチリの首都サンティアゴまで車で15時間、ロンドンのヒースロー空港まで飛行機で14時間。全て環境を調整した特性の容器で運ばれた。
ロンドン動物園は、赤ちゃんガエル33匹の誕生を「記念すべき瞬間」と位置付ける。いずれチリのツボカビ感染が収束すれば、カエルたちを元の生息地に戻したいと期待をつなぐ。