マンモスの特徴を持つ「ケナガネズミ」が誕生、マンモス復活への一歩となるか

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マンモス再生に向けた「ケナガネズミ」が誕生

(CNN) この実験用マウスは小さいが、その影響は巨大なものとなるかもしれない――。米バイオ企業コロッサル・バイオサイエンシズは、丸まったひげと、通常の実験用マウスよりも3倍長く明るい色の体毛を持つ遺伝子組み換えのげっ歯類を発表した。この実験用マウスはケナガマンモスの特徴をいくつか体現している。

コロッサルによれば、この「ケナガネズミ」を利用することで、特定のDNA配列と、約4000年前に絶滅したマンモスが寒冷地での生活に適応できた身体的な特徴との関連性について、仮説を検証できるようになるという。

コロッサルの研究主任ベス・シャピロ博士は声明で、「これは、絶滅によって失われた形質を復活させるという我々のアプローチを検証するための重要な一歩であり、我々の目標は復元することだ」と述べた。シャピロ氏は現在、カリフォルニア大学サンタクルーズ校の教授としての立場を休職している。

コロッサルによれば、ケナガネズミを生み出すにあたって、マンモスと、その最も近い親戚で今も生きているアジアゾウとの間に見られる遺伝子変異を特定した。

コロッサルの科学者はさらに、実験用マウスで、同様の変異に対応する毛の長さや太さ、色などに関連する10の変異体を特定した。

たとえば、科学者は、毛の成長に関連する「線維芽細胞成長因子5(FGF5)」として知られる遺伝子を標的にして、より長く、毛むくじゃらの毛を生み出した。

遺伝子組み換えが行われたマウスは通常の実験用マウスよりも3倍長く明るい色の体毛を持つ/Colossal Biosciences
遺伝子組み換えが行われたマウスは通常の実験用マウスよりも3倍長く明るい色の体毛を持つ/Colossal Biosciences

研究チームは全体として、三つの最先端技術を活用し、七つの遺伝子に対して、八つの編集を同時に行った。

コロッサルは査読を受けていない未発表の科学論文を共有した。

スウェーデン・ストックホルム大学のロベ・ダレン教授(進化ゲノム学)は「マウスで複数の遺伝子を同時に編集する能力、そして、それを実行して、期待通りの毛の長い外観を得る能力は非常に重要な一歩だと思う」と述べた。ダレン氏はコロッサルの顧問で、論文の共著者でもある。

「マンモスの遺伝子変異体を別の種に導入するなど、こうした種類の遺伝子編集を行うノウハウをコロッサルが持っていることの証明だ」(ダレン氏)

ただの「かわいい、毛むくじゃらのネズミ」か

英フランシス・クリック研究所のロビン・ロベルバッジ氏は今回の研究について、技術的に印象的であり、遺伝子の変化は正確かつ効率的だったと述べた。

ロベルバッジ氏は「この論文に関する私の最大の問題は、マンモスにみられる形質を導入することによって改変された実験用マウスが耐寒性を持つかどうかについて何も言及していないことだ。それがこの研究を行うことに正当性を与える」と述べた。

ロベルバッジ氏は、現状では、見た目がかわいい、毛むくじゃらのネズミがいるものの、その生理や行動などについては何もわかっていないと指摘。最終的にゾウにマンモスのような有用な形質を与えることができるかどうかも理解が深まったわけでもなく、生物学的なこともほとんどわかっていないと語った。

コロッサルは2021年の創業以降、4億3500万ドル(約640億円)を調達している。コロッサルは、マンモスやドードー、タスマニアタイガーなどの「再生」を計画している。方法としては、それぞれの種に最も近い今も生きている種の遺伝子を編集し、絶滅種と見た目には区別できないハイブリッドな生き物を作り出すとしている。

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