オーストラリア人が恐れる唯一の生物? あの「生きた恐竜」のような鳥に遭遇したら

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黒い背中の羽毛と突き刺すような目つきが特徴のヒクイドリは「世界一危険な鳥」とも呼ばれる/David Gray/AFP/Getty Images

黒い背中の羽毛と突き刺すような目つきが特徴のヒクイドリは「世界一危険な鳥」とも呼ばれる/David Gray/AFP/Getty Images

(CNN) オーストラリアといえばあらゆる種類の毒ヘビや毒グモの生息地であり、謎の未確認生物「ドロップベア」も存在するらしい。

だがそのオーストラリアで人を恐怖に陥れている鳥がいる。

その鳥、ヒクイドリは単なる鳥ではない。体高が人の背丈ほどもある世界最大級の飛べない鳥で、つやつやの黒い背中の羽毛と突き刺すような目つきを特徴とする。2足歩行で、体重は60キロを超えることもあり、両足には短剣のような大きなかぎ爪がある。

野生のヒクイドリに詳しい専門家は「まるで生きた恐竜」と形容する。「世界一危険な鳥」とも称される。

オーストラリアの国鳥でもあるエミューはヒクイドリの仲間だが、森林の奥深くに生息するヒクイドリに人が遭遇することは少ない。今は絶滅の危険にもさらされている。

果実を餌とするヒクイドリは、種子を森林に行き渡らせ、熱帯雨林の生態系の中で重要な役割を担う。

ヒクイドリはオスが主に育児を担う珍しい種でもある。メスは卵を産むと巣を離れ、オスが卵を温めて孵化(ふか)させひなを育てる。人がひなに近づきすぎれば襲われることもある。

昨年は、北東部クイーンズランド州でマクドナルドのハンバーガーをヒクイドリに奪われそうになって逃げ回る女性の動画が話題になった。

体が大きくて恐ろしそうに見えるヒクイドリだが、保護団体のC4を創設したピーター・ロウルズ氏によると、実はヒクイドリと遭遇して死ぬ人間よりも、人間と遭遇して死ぬヒクイドリの方が多いという。

「もし野生のヒクイドリに遭遇したら、まず両手を後ろに隠すこと」と同氏はアドバイスする。「できるだけヒクイドリの注意を引かないようにする。木の陰に隠れ、環境に溶け込む。叫んだり腕を振り回したりしてはいけない。食べ物を手に持っていたらポケットに入れ、自分の後ろに回して見えないようにする」

衝動的に悲鳴を上げて反対方向に走って逃げれば逆効果になる。エミューやダチョウの仲間のヒクイドリは走るのが速い。

食べ物を捨てて逃げたりもしない方がいい。2001年の学術誌に掲載された調査によれば、人とヒクイドリの危険な遭遇の75%は、人がヒクイドリに餌を与える行為が引き起こしていた。

「餌を与える行為はヒクイドリの自然な行動を変化させ、大胆かつ攻撃的にさせてしまうらしい」と論文筆者は解説し、「人が襲われて死亡した唯一の事例では、被害者がヒクイドリを殺そうとしていた」と指摘している。

クイーンズランド州の熱帯雨林を訪れる場合、ヒクイドリに近寄ってはいけないとロウルズ氏は助言する。黒や濃紺の車も避ける必要がある。過去にはヒクイドリがそうした車に映った自分の姿を見て、ライバルが近くにいると勘違いしてパニックに陥ったことがあるという。

ロウルズ氏によると、C4の設立当初、オスのヒクイドリの像を事務所前に設置したところ、メスが現れて「求愛」を試みる出来事があった。

しかし当然ながら相手にされず、オスに拒絶されたとみなしたメスは、3日目になってこの像を「縄張りを争う相手」と認識したらしい。「私たちの気の毒な繊維ガラスのヒクイドリは、蹴られて胸に穴をあけられ、殴り倒された」とロウルズ氏。

その後オスの像は修理され、C4のオフィス内の安全な場所に移された。

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