色鮮やかな「極楽鳥」、人間には見えない秘密のカラーシグナルを発信 新研究

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極楽鳥の羽毛と体の一部はブルーライトや紫外線の下で見るとが鮮やかな光を放つ/Rene Martin

極楽鳥の羽毛と体の一部はブルーライトや紫外線の下で見るとが鮮やかな光を放つ/Rene Martin

(CNN) ハチドリやクジャク、オウムなど色鮮やかな種類が多い鳥類にあって、ひときわ華やかなのが極楽鳥だ。エメラルドやレモン色、コバルト、ルビーレッドからなる体色は異彩を放つ。そんな極楽鳥について、人間の目には見えない秘密のカラーシグナルを送っているとの研究結果が発表された。

英王立協会オープンサイエンス誌に12日発表された新たな研究によれば、極楽鳥の羽毛と体の一部はブルーライトや紫外線(UV)の下で見ると特定の部分が光り、鮮やかな緑色または黄緑色に見えるという。

生物は生物発光と生物蛍光という2通りの方法で光を生成する。生物発光とは例えばホタルが生成する光で、分子のルシフェリンとルシフェラーゼが関与する化学反応が必要となる。生物蛍光する生物は紫外線やバイオレットライト、ブルーライトなど高エネルギーの波長を吸収し、低エネルギー波長の光を発する仕組みにより輝く。

研究者チームは既知の極楽鳥45種のうち、37種で見られる生物蛍光について記述した。極楽鳥はパプアニューギニアやインドネシア東部、オーストラリアの一部の人里離れた熱帯林や森林地帯にのみ生息する。論文によると、ブルーライトや紫外線を照射されると、白と鮮やかな黄色の羽毛が発光。この光は縄張り争いや、つがい探しに使われている可能性があるという。

鳥は並外れた色覚で知られており、ハトや七面鳥、アヒル、ガンなど多くの種類の鳥は紫外線スペクトルを認識できる。極楽鳥の視覚について分かっていることはほとんどないが、カラス属やオウギビタキ属、カササギ属を含む一部の近縁種はバイオレットライトの波長を感知する視覚を持つことが知られている。こうした鳥にとっては、蛍光模様が暗闇に光る明かりのように見えるのだという。

米セントクラウド州立大学のジェニファー・ラム准教授(生物学)は「多様な極楽鳥の仲間だけでなく、一部の近縁種も調査している点で、今回の研究は巧みに設計されている」と指摘した。ラム氏は両生類と爬虫(はちゅう)類の生物蛍光が専門だが、今回の研究には関わっていない。

「生物蛍光で本当に興味深い点は、それが視覚信号である、あるいは視覚信号になり得るにもかかわらず、様々な集団でまだ比較的研究が進んでいないことだ」 「つまり、私たちはある意味、視覚信号や視覚コミュニケーションに関する潜在的な研究分野を見落としてしまっている。人間の目では認識できないという主な理由で」(ラム氏)

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