火星の有害な塵、宇宙飛行士に重大な危険をもたらす可能性 新研究

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火星の塵が宇宙飛行士の身体に重大な危険をもたらす可能性があるとの新研究が発表された/NASA

火星の塵が宇宙飛行士の身体に重大な危険をもたらす可能性があるとの新研究が発表された/NASA

(CNN) 火星の有毒な塵(ちり)が、将来の有人火星ミッションに重大な危険をもたらすため、相当の対策が必要になるとみられることが分かった。ジオヘルス誌に先月発表された研究で明らかになった。

火星の塵に含まれるシリカ、石こう、過塩素酸塩、ナノ相酸化鉄などの物質は、火星ミッションに参加する宇宙飛行士の命を脅かす恐れがある。

南カリフォルニア大学(USC)ケック医学校の学生で、研究の共著者であるジャスティン・ワン氏は26日、CNNに対し、「最大の危険は、宇宙飛行士の肺へのリスクだ。塵は非常に細かいため、肺に残り、一部は血流に吸収されるとみられる」と語る。

宇宙飛行中の放射線被曝(ひばく)により、飛行士はすでに肺線維症のリスクにさらされているうえ、シリカや酸化鉄などの多くの危険物質が肺疾患を併発させる可能性もあるという。

火星の土壌からは有毒なレベルの過塩素酸塩が検出されている。ワン氏はこれが甲状腺機能障害や再生不良性貧血を引き起こしかねないという点も強調した。

火星のジェゼロクレーター/Caltech
火星のジェゼロクレーター/Caltech

火星から地球に帰還するまでには長い時間を要し、地球との通信の遅れも考えると、ダストフィルターや静電反発装置を使用したり、宇宙船内を清掃したりするなどして塵への暴露を避けることが重要だという。

一方でワン氏は、火星ミッションを行うにあたり、適切な準備をしておけば危険は簡単に回避できると楽観的な見方を示している。

研究の共著者でコロラド大学ボルダー校の地質学教授であるブライアン・ハイネック氏は、火星の塵がもたらす、より広範な影響を指摘。「塵は絶えず空から降り注ぎ、すべてを覆っている。数年おきに火星全体を覆う嵐が起き、厚い層が降り積もると同氏はCNNに語り、宇宙船や車両、太陽光パネルなどの機器には「機能を保つために絶えず注意を払う必要がある」と強調した。

ハイネック氏は、探査車の太陽光パネルがちりまみれになったことでバッテリーを充電できず、科学機器やミッション全体が損なわれた経験があるという。

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