恐竜の巨大な爪を発見、完全な保存状態では過去最大 モンゴル・ゴビ砂漠
(CNN) モンゴルのゴビ砂漠で、完全な保存状態で残るものとしては過去最大の恐竜の爪が発見されたことが、新たな研究で明らかになった。2本指の爪が特徴的な新種は、ナマケモノやキリン、映画「シザーハンズ」の主人公をミックスしたような奇妙な外見をしていたとみられる。
特に注目されるのは、指のうち1本の爪の鞘(さや)がそっくり残っている点だ。この鞘は人間の指の爪と同じくケラチンでできており、下にある骨よりも爪の方がはるかに長かったことが分かる。研究者によると、このように完全な形で保存された爪としては過去最大の大きさだという。

デュオニクス・ツォグトバータリが爪で木の枝を掴む様子を描いたイラスト/Masato Hattori
「サイズは30センチ近い」。そう指摘するのはカナダ・カルガリー大学の古生物学者で、科学誌iサイエンスに発表された論文の共著者を務めたダルラ・ゼレニツキー准教授だ。「ケラチンの鞘が付いた状態で保存された恐竜の爪としては、これまでで群を抜いて大きい」と語る。

爪の1本にケラチンの鞘がついた状態で発掘された/Yoshi Kobayashi/Hokkaido University
恐竜の学名はモンゴルの古生物学者ヒシグジャブ・ツォグトバータル氏に敬意を表し、「デュオニクス・ツォグトバータリ」と名付けられた。属名のデュオニクスはギリシャ語で「2本の爪」を意味する。

爪の1本(左上)にケラチンの鞘がついている化石/Kobayashi et al 2025
体高は約3メートルで、体重は260キロ程度だったとみられる。今回の研究によると、湾曲した爪を使って植物に脚を伸ばしていた可能性が高く、最大で直径10センチの枝をつかむことができたようだ。
2本の爪以外にも、背骨や尻尾、腰、前脚や後脚の一部の化石が見つかった。ゼレニツキー氏によれば、モンゴル科学アカデミー古生物研究所の職員が数年前に発見したという。
2本指の前脚は物をつかむだけでなく、誇示を目的に使ったり、必要に迫られた場合に強力な武器として使用したりしていた可能性もある。「彼らは捕食者ではなかったが、あの爪で身を守ることはできただろう。大きく、とても鋭いから」(ゼレニツキー氏)

今回発見された過去最大の恐竜の爪はモンゴルのゴビ砂漠で発掘された/Yoshi Kobayashi/Hokkaido University
現生生物でこの特徴的な指に最もよく似ているのは、ナマケモノが木の枝にぶら下がる時に使う爪だろうとゼレニツキー氏は言い添えた。