観測史上最も遠い銀河で酸素を発見

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観測史上最も遠い銀河「JADES―GS―z14―0」の位置を示した画像/Space Telescope Science Institute Office of Public Outreach

観測史上最も遠い銀河「JADES―GS―z14―0」の位置を示した画像/Space Telescope Science Institute Office of Public Outreach

(CNN) 観測史上最も遠い銀河「JADES―GS―z14―0」で酸素や重金属などの元素が発見された。この銀河は134億光年前に存在しており、初期の宇宙で形成されたもの。この発見は20日にアストロフィジカル・ジャーナル誌とアストロノミー・アンド・アストロフィジクス誌に個別の研究として発表された。

天文学者らは、138億年前のビッグバンによって宇宙が作られたと考えている。

この異例なほど大きく明るい遠方銀河は、2024年1月にジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡によって初めて発見された。同望遠鏡や、チリのアタカマ砂漠にあるアタカマ大型ミリ波サブミリ波干渉計(ALMA)などの天文台は、宇宙の誕生からわずか3億年ほどのころの銀河を観測している。

天文学者らはジェイムズ・ウェッブが最初に観測したこの銀河についてALMAを用いて追跡調査したところ、酸素と重金属の存在を発見した。これらの存在は、初期の宇宙で銀河が想定よりも早く形成されたことを示唆している。

宇宙が誕生して10億年も経っていないころの様子を描いたイメージ図/NASA/ESA/A. Schaller for STScI
宇宙が誕生して10億年も経っていないころの様子を描いたイメージ図/NASA/ESA/A. Schaller for STScI

銀河は通常、吹き飛ばされ回転する巨大なガス雲から始まり、主にヘリウムや水素などの軽元素でできた若い恒星で満たされる。恒星は時間とともに進化し、酸素や金属などのより重い元素を生成。寿命が尽きるときに恒星が爆発すると、これらの元素が銀河全体に分散する。そしてこうした元素は、さらなる恒星とその周りを回る惑星の形成につながる。

しかし、JADES―GS―z14―0はそのモデルに当てはまらない。代わりに、この銀河には想定より10倍も多くの重元素が含まれていると研究の著者らは述べている。

イタリアのピサにある高等師範学校の助教で、アストロノミー・アンド・アストロフィジクス誌の研究の筆頭著者であるステファノ・カルニアーニ氏は声明で「このような元素は大質量星によって生成される。また、大量の酸素は、すでに数世代の大質量星が誕生し、死滅したことを示唆している」と述べた。「結論として、(JADES―GS―z14―0)は想定よりも成熟しており、これらの結果は、最初の世代の銀河が非常に急速に質量を集合させたことを示唆している」

このような銀河を研究することは、宇宙が誕生した直後に起きた出来事や、最初に現れた天体の正体など、「宇宙の夜明け」に残された多くの謎を解明するのに役立つ可能性がある。

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