ハチの針刺し療法で女性患者死亡 スペイン
(CNN) スペインのマドリードで、2年間にわたって月1回、生きたハチの針を使う健康療法「アピセラピー」を受けてきた55歳の女性が、療法中に意識を失って死亡した。かつて女性の主治医だった英ロンドンの大学の医師が、医学誌に症例研究を発表した。
アピセラピーはミツバチが集めたハチミツや花粉、ハチ毒を使う療法で、女性はストレスや関節の硬直を引き起こす筋肉の収縮を軽減する目的で、毎月この療法を受けてきた。女性の症例を発表した医師によると、この療法は世界中で普及しつつあるという。
女性はそれまで、アピセラピー療法による副作用の症状が出たことはなかった。ぜんそくや心疾患、昆虫アレルギーなどの病歴もなかったという。
ところがある日、定例の療法を受けている際、1回目のハチの針を刺された直後に呼吸困難になり、意識を失った。
療法士は救急車を呼んだ後、アレルギー反応を抑える医薬品のメチルプレドニゾロンを投与した。極度のアレルギー反応に対して一般的に使われる治療薬のエピネフリンは、その場にはなかった。
病院に到着するまでの30分の間に、女性の血圧は急低下して、心拍が激しくなった。投薬によって血圧や心拍は落ち着いたものの、昏睡(こんすい)状態に陥っため挿管が必要になった。
病院でCTスキャン検査を行った結果、女性は脳梗塞(こうそく)を起こしていたことが判明。数週間後、多臓器不全で死亡した。
適切な処置をしていれば、女性の死は防げたかもしれないと医師は指摘。ハチの針を使う療法については、「患者がハチ毒に対して過敏になり、反応を起こすようになるのかどうかを知るための、確立された手段は現時点では存在しない」としながらも、「リスクや重症度の上昇において、ハチに繰り返し刺されるといった要因は決定的だ」と話している。