英BBC会長が辞任、児童虐待巡る誤報で引責 就任から2カ月
ロンドン(CNN) 英BBCテレビのジョージ・エントウィスル会長が10日、就任後約2カ月で辞任した。1970~80年代の児童虐待事件を巡り、当時の大物政治家が犯人だったと誤って伝えられた問題で、責任を取ると表明した。
エントウィスル会長は記者団に「自信を持って就任したが、極めて異例の事態を受け、BBCは新たなリーダーを指名すべきだとの結論に達した」と述べた。
後任が決まるまでの間、音楽部門の責任者でBBCワールドワイド最高経営責任者(CEO)のティム・デイビー氏が会長代理を務める。
BBCは今月2日のニュース番組で、70~80年代にウェールズ地方の児童福祉施設で性的虐待を受けたとする男性の主張を放映。本人の証言に基づき、犯人はサッチャー政権の保守党幹部だったと伝えた。実名は伏せたものの、インターネットに憶測が飛び交い、騒然となった。
ネット上で名指しされたマカルパイン元上院議員は9日、関与を強く否定する声明を出し、法的措置も辞さない構えを示した。BBCは数時間後に謝罪声明を出していた。BBCによると、被害者の男性も、マカルパイン元議員は犯人ではなかったとして人違いを認めた。
ミラー文化・メディア・スポーツ相はエントウィスル会長の辞任について「遺憾だが正しい決断。信頼回復が不可欠だ」と述べた。
BBCを巡っては、名物司会者だった故ジミー・サビル氏が長年にわたって未成年者への性的暴行を繰り返し、BBCがその隠ぺいを図ったとされる疑惑も表面化している。