仏当局、ボブ・ディランさんを取り調べ 「憎悪あおる発言」で
パリ(CNN) フランス検察は3日、米歌手ボブ・ディランさんが雑誌のインタビューで特定の民族を傷付け憎悪をあおる発言をしたとして、正式な取り調べを受けていることを明らかにした。
ディランさんは昨年、大衆誌ローリング・ストーン・フランス版とのインタビューで、「相手に奴隷使用者や(白人至上主義の秘密結社)クー・クラックス・クラン(KKK)の血が流れていたら、黒人にはそれが分かる。これは現代でも同じ。ユダヤ人がナチスの血をかぎ分け、セルビア人がクロアチア人の血をかぎ分けるのと同じことだ」と話した。
これに対してフランスのクロアチア人団体が、「我々の民族全体をKKKやナチスのような犯罪集団と同じように扱った」と強い反発を示し、「まれに見る言葉の暴力だ」として刑事告訴した。パリの検察によると、裁判所は約1年後の先月、正式な取り調べの開始を決めた。
クロアチア団体の代表者は「深い衝撃を受けた。彼に恨みがあるわけではないが、侮辱発言を認めるわけにはいかない」と話した。
ディランさんは現在も強い影響力を持ち、昨年はオバマ米大統領から文民最高位の「大統領自由勲章」を授与された。米芸術文学アカデミーの名誉会員にも選ばれている。