米小説「アラバマ物語」、55年ぶりの新作も発売前から論争
(CNN) 小説「アラバマ物語」の作者、ハーパー・リーさんの55年ぶりの新作小説が14日、発売される。前作の中心人物が人種差別主義者として描き直されているとして、読者の間では発売前から既に議論が過熱している。
新作の題名は「Go Set a Watchman(原題)」。待望の発売となる本書だが、内容をめぐって既に議論が巻き起こっている。「アラバマ物語」で道徳的支柱となっていたアティカス・フィンチが、本書では人種差別主義者として描き直されているとみられるためだ。
短文投稿サイト「ツイッター」では読者の悲痛な声も上がっている。
リーさんは本書の内容を1950年代に執筆し終えていた。その草稿が昨年、再発見されて新作に結実。「アラバマ物語」の語り手の少女、スカウト・フィンチのその後を扱ったものだ。
「アラバマ物語」は60年に発表され、ピュリツァー賞を受賞したほか、4千万部以上を売り上げた。だがファンの中には、何も知らない方が幸せだとして、新作を読まないという人も。
最近、リーさんに会ったという映画監督のメアリー・マーフィーさんはCNNの取材に対し、「読者は自分の好きなようにするだろう」と述べた。
マーフィーさんはまた、新作について微妙なニュアンスをくみ取った解釈を提示する。「当時のアラバマは、黒人を編入するくらいなら公立学校を閉校する方がましだとするような州だったことを念頭に置いてほしい。この本の背景にあるのは、そういった雰囲気だ。州内の小さな町に、因習から完全に自由になった南部白人男性を見いだそうとしても無理だ。本書のアティカスは、言ってみれば、そうした時代と当時の文化を反映しているのではないか」と主張した。