日本代表、井上監督が語る柔道哲学 「投げられても立ち上がる、人生のよう」
(CNN) 日本の柔道が単なるスポーツにとどまらないのと同じく、柔道家の井上康生さん(39)も並のアスリートではない。1999年から2003年にかけてほぼ無敵の存在として君臨し、3年連続世界一の栄冠と五輪金メダルを手にして史上最高の選手の1人となった。
現在は男子日本代表の監督として柔道の奥義を次世代に伝え、畳の上でトップに立ち続けた10年間に勝るとも劣らない成功を収めている。
「私たちは柔道をスポーツとしてだけでなく、武道としてとらえています」――井上さんはCNNとのインタビューでそう語った。国際大会での優勝を目指す競技としての柔道の背後には、試合の勝敗よりもはるかに大きい何かがあるという。
柔道を日々練習することは、実のところ人生全般で成功を収めるための助けになると、井上さんは言う。柔道では何度投げられても立ち上がらなければならない。「それは人生そのものとよく似ている」と話す。
多くの日本人選手と同様、井上さんも幼い頃から柔道を始めた。父の指導を受けて、毎日がむしゃらに練習した。もうやめろと言われるまで練習を続けた。
「柔道の意義は勝つか負けるかだけではない。より良い社会のために貢献し、常に恩返しをしていくことでもある」と、井上さんは言う。
「柔道の父」と呼ばれる嘉納治五郎は柔道の目的として、自己の「人格の完成」とともに「社会への貢献」を挙げていた。井上さんは選手としても監督としても、常にそれを心にとどめてきた。