「ヒジャブ」まとったフィギュア選手、世界選手権出場目指す
ラリさんはその後、ISUにルールの変更を求めた。すると責任者から、ラリさんに直接会ってスカーフの安全性を確認したいと連絡があった。
今年9月に出場したドイツでのネーベルホルン杯では、スカーフを衣装違反と見なさないようにという指示が出された。ただしこれは1回限りの措置。ISUでは今も、ルールについての検討が進められているところだという。
同じ9月には18年冬季五輪の予選にも参加したが、通過はかなわなかった。
「私の目標はUAE代表として冬季五輪に出る最初の選手になること。それだけでなく、四大陸選手権と世界選手権にも出場すること」と話す。今年は、アラブの女性スポーツ選手を応援する米ナイキのネット広告にも起用された。
現在はアブダビ大学で環境安全衛生を学んでいるが、卒業後はフィギュアスケートの指導者になるのが夢。父も今ではUAE初の正式なスケートクラブを設立し、母がその最高経営責任者(CEO)とラリさんのマネジャーを務めている。クラブのメンバーは75人まで増えた。
アブダビ唯一のリンクはホッケーチームが優先的に押さえてしまうため、トレーニングのタイミングを思うように調整できないのが目下の悩みだという。
ラリさんはそれでも前を向いて進み続ける。人々に送りたいメッセージを尋ねると、こんな答えが返ってきた。「一生懸命練習すること、集中を切らさないこと、情熱を持つこと、そして全力を尽くすこと。自分を信じ、目標を達成するのに遅すぎることはありません」