パキスタンで初、トランスジェンダーのニュースアンカー
(CNN) パキスタンのテレビに、体と心の性別が一致しないトランスジェンダーのニュースアンカーが初めて登場して話題を呼んでいる。
マルビア・マリクさん(21)は北部ラホールにあるパンジャブ大学でジャーナリズムを学び、同市内のテレビ局「コヒヌール・ニュース」の見習いアンカーとなった。今月23日の放送でデビューして以来、ソーシャルメディア上で大きな話題になっている。
この職に応募したのは、トランスジェンダーがどんな仕事にも就けることを証明したかったからだと話す。
パキスタンでは今月、トランスジェンダーに身分証明書の性別を変えたり、財産を相続したり、差別を受けずに公職に就いたりする権利を認める法律が上院を通過した。だがこうした法律が実際に効力を発揮するには、社会全体の考え方が変わる必要があると、マリクさんは指摘する。
マリクさんはごく幼いころからトランスジェンダーを自覚していたという。家族に縁を切られ、15歳で自活を始めた。「トランスジェンダーの子どもの目標になって、みんなも社会に受け入れてもらえること、チャンスがあることを示したい」と語る。
2017年実施の最新の国勢調査では、性別の選択にトランスジェンダーが初めて加わった。自身がトランスジェンダーだと申告した人は、人口約2億人のうち1万人近く。その多くは勘当されて職にも就けず、売春や物ごいでやっと暮らしているのが現状だ。
マリクさんの上司はCNNに、選考の段階でマリクさんがトランスジェンダーだとは気付かなかったとコメント。今の社会では偏見のために多くの才能が埋もれていると指摘し、同局は差別のない採用に努めていると強調した。