アカデミー賞に10部門でノミネート、しかし興収は「0ドル」
(CNN) 今年のアカデミー賞で10部門にノミネートされ、作品賞の有力候補ともみられている1970年代のメキシコを舞台にしたモノクロ映画「ROMA/ローマ」(アルフォンソ・キュアロン監督)だが、興行成績でみた場合、売り上げは「0ドル」と異例の事態となっている。
これは、ネットフリックスが同作品の配給を手掛けているためだ。約3カ月にわたって映画館で上映されたものの、ネットフリックスは興収については明らかにしておらず、このため、表向きは全く売り上げをあげていないことになっている。
調査会社コムスコアのシニアメディアアナリスト、ポール・ダーガラベディアン氏は、こうした状況について、「私が知る限り、初めて」「信じられないほど異例」と指摘した。
ネットフリックスは昨春、作品の配給権を獲得。11月に一部の映画館で公開した。12月半ばまでには数十カ国で公開されたほか、ネットフリックス上でも放送された。賞レースにおいては異例の配給戦略といえる。
ネットフリックスは同作品の視聴者数についても公表していない。ネットフリックスは一部の例外を除き、視聴者数について明らかにすることはない。
ネットフリックスの広報担当は、「チケットの売り上げが成功を測るための数字だとは考えておらず、そうした数字は使わない」と説明した。
もちろん、興行成績がいいからといって、作品賞に選ばれるわけではない。作品賞を獲得した「ハート・ロッカー」と「ムーンライト」の北米市場での興収はそれぞれ1700万ドルと2780万ドルと高い数字ではなかった。