キューバ人選手のMLB移籍、トランプ米政権が協定を撤回
ワシントン(CNN) トランプ米政権は8日、キューバの野球選手が亡命せずに米大リーグ(MLB)でプレーできるとした新たな協定を撤回すると発表した。この措置を受けキューバの野球連盟からは批判の声が上がっている。
MLBとキューバ野球連盟が昨年12月に締結した協定では、キューバ人選手がMLBに移籍する際に亡命する必要がなくなり、帰国を禁じられるリスクを負わずに済むようになる。またキューバ側は、選手を獲得したMLB球団に対して移籍金を請求することが可能になる。
政府が運営するキューバ野球連盟はCNNに対する声明で、「MLBとの協定は人身売買に歯止めをかけ、両国の連携を促進し、野球の競技水準を引き上げることを目的としている。政治的動機に基づく協定への攻撃は選手とその家族、野球ファンを傷つけるものだ」と、協定の撤回を批判した。
協定は、オバマ前大統領が進めたキューバとの関係改善を促す規制緩和の一環として成立した。現在のトランプ政権はこうした取り組みを部分的に撤回。キューバ政府を非難し、南米ベネズエラで起きている混乱について責任があるとの見方を表明している。
米国家安全保障会議(NSC)の報道官は声明で、上記の協定について「米国はこうした動きを支持しない。これが制度化されれば、キューバの政府機関が努力を重ねる選手たちへの賃金を差し押さえることになる。選手たちはただ自由な社会で生活し、プレーすることを望んでいる」と述べた。そのうえで今後はMLBと協力し、キューバ人選手らの個人の自由が認められるような制度の実現を目指すとした。
一方、MLBは8日、「協定の目的を支持する。キューバ人選手の人身売買には終止符を打たなくてはならない」との見解を示した。