東京五輪まで100日切る、1%に満たないワクチン接種率に懸念

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コロナ禍が収まらない状況での五輪開催にボランティアや専門家から懸念の声が上がる/CNN

コロナ禍が収まらない状況での五輪開催にボランティアや専門家から懸念の声が上がる/CNN

東京(CNN) 東京五輪のボランティアらがこの数週間、大会の運営側に対し、自分たちは新型コロナの感染からどのように守られるのかを尋ねた。大会に当たっては各国から選手が日本に押し寄せるが、国内でのワクチン接種率は低い。

運営側の回答はシンプルなものだった。ボランティア1人につき、手指消毒液入りの小さなボトル1本とマスク2枚を配布するという。

「彼らはワクチンについて話さない。私たちに検査を受けさせることさえ口にしない」と、ボランティアの1人でドイツ日本研究所の副所長を務めるバーバラ・ホルトス氏は語る。

開幕まで100日となる中、東京五輪をめぐる疑問にはいまだに答えが出ていない。巨大なスポーツイベントを開催する一方で、どうすればボランティアや選手、審判員、そして日本国民を新型コロナから守れるのか。

懸念が高まる要因は、感染の「第4波」が迫る現状にある。今月10日、日本の累計の感染者数は50万人を突破。日々の感染者の増加を受け、一部地域では感染対策のための規制を再度強化した。埼玉医科大学の岡秀昭教授は、直近の感染の波について、7月23日の五輪開幕までに抑え込むことができないかもしれないと指摘する。

菅義偉首相は今月12日、6月末までに1億回分のワクチンを確保すると改めて約束したが、ここまでワクチンを接種した人の数は人口1億2600万人に対し110万人前後にとどまる。率にして1%にも満たず、2度の接種を終えているのはわずか0.4%だ。

前出のホルトス氏は、ボランティアとして五輪開催に協力するのは「一生に一度の」チャンスだとしながらも、「現状は極めて危険な経験」だとの認識を示す。

東京五輪の組織委員会はCNNへの声明で、安全で安心な大会の開催に向けて準備を進めており、ワクチン接種が広がらない状況でもそれは変わらないと述べた。

一方で、国内外でのワクチン投与が適切に行われ、全般的に感染が収束に向かうのを期待するとした。

進まぬワクチン接種

五輪の開催費用が250億ドル(約2兆7000億円)とも試算される中、アジアで日本ほど感染の抑え込みとワクチン接種の拡大を求めている国はないだろう。

それでも日本では諸外国に比べ新型コロナワクチンの承認に時間がかかっている。米ファイザーと独ビオンテックが共同開発したワクチンの承認には2カ月以上を要し、実際に医療従事者への先行投与が始まったのは2月に入ってからだった。共同通信によれば、一般の高齢者向けの接種は4月12日から始まった。

専門家からは、こうした遅れはワクチンに対する不信感を取り除くための当局の注意深さに起因すると説明する。そうした不信感は以前、ワクチン接種の取り組みを後退させる要因となった。だが、これにより日本は他のアジア諸国に遅れをとる形となった。中国とインドでは、ここまでそれぞれ1億7100万回、1億800万回分の接種が行われている。

政府は高齢者の接種を6月末までに完了することを目指すとしているが、埼玉医科大学の岡氏は、現状で新型コロナの治療に当たる医療従事者への接種さえ完了していないと指摘。政府の目標の実現に懐疑的な見方を示す。

同氏はまた、五輪参加のために入国する全選手へのワクチン接種を優先するべきだとも述べているが、政府は選手への接種に後ろ向きな姿勢を示してきた。これに先立ちメディアが五輪選手への優先接種について報じた際には、日本国内のソーシャルメディア上で批判の声が起こっていた。

このほか中国政府からも東京五輪の選手向けにワクチンを提供するとの申し出があったが、日本政府は中国製ワクチンの使用許可が日本国内で下りていないのを理由にこれを断った。

大会での新型コロナ感染拡大のリスクを抑えるため、海外からの観客受け入れは断念した。だが200を超える国・地域から1万1000人以上の選手が来ると予想されている。

選手に対するワクチン接種の計画がないまま、何万人ものボランティアは防護の見込みがほとんどない状態で参加する形となる。

ホルトス氏は、大会組織委員会の橋本聖子会長がビデオ会議システム「Zoom」を通じて、大会の成功はあなた方の笑顔にかかっていると話しているのを聞いたという。全員がマスクを着けるのにと思い、特に不快感を覚えた言葉だったと語る。

「あなたの笑顔でオリンピックが成立する(と我々は言われた)。ふざけているのかと思った」とホルトス氏は語る。

ボランティア向けの感染症予防対策について80分間の講習を受けたボランティアの女性は、感染症のトップ級の専門家から、大会前にワクチン接種を受けられると期待すべきではないと言われたと語る。

高齢者でない限り普通の人が接種を受ける時間的猶予は十分ないだろうと言われ、講習後に怒りと怖さを感じたという。女性は大会で与えられた役割から外されるのを懸念して匿名を希望した。

以前の大会にも参加経験があるこの女性は、ボランティア全員がワクチン接種を受けられないなら、役から降りることも考えている。接種をしないということはボランティアの命を軽視していることを示し、日本はホスト国として最上の安全な環境を提供する義務があると語る。

ボランティア向け説明会の内容に関する質問について、運営側からの回答はまだない。

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