「とてつもない可能性」 ロシアの天才テニス少女は12歳
特に体操は毎日3時間練習することも少なくなかったが、テニスは1時間。幼いころは週3回にとどめ、強制はしなかった。水泳や英語、ブレイクダンスなどを幅広く習わせた。
ジュリアさんは「娘は自分を信じているし、迷いがない。最高の選手になることを心から確信している」と、力を込める。テニスで何がしたいかと本人に尋ねると、「伝説になりたい」という答えが返ってくるという。
悲劇を乗り越えて
クセーニャさんの決意を最もよく表していたのが、スウェーデンで昨年開催されたテニス・ヨーロッパ・ジュニアツアーでの勝利だった。
クセーニャさんの父親で元テニスコーチのアレクセイ・エフレモワさんは、2年以上前から悪性リンパ腫で闘病中だった。大会期間中、ジュリアさんに危篤の知らせが入った。
ジュリアさんは迷った末、クセーニャさんにそれを伝えた。クセーニャさんはショックを受けて泣いていたが、大会を棄権することは拒んだ。
インスタグラムのフォロワーは3万5000人を超え、ナイキやヨネックスとスポンサー契約を結んでいる/ksenia.efremova.tennis/Instagram
決勝戦に臨んだのは、父が亡くなってからわずか6日後の12月3日。クセーニャさんは見事優勝し、ジュリアさんが運営するインスタグラムのアカウントにこう書き込んだ。「あなたはこの宇宙で一番強い人として、私の心にいつまでも生き続けるでしょう。お父さんの夢を全力でかなえます。空から見ていてくれるよね」
ジュリアさんはクセーニャさんが戦い続けると決めた時、あまり驚かなかったと話す。クセーニャさんのそんな強さは父親譲りだ。アレクセイさんもきっと娘の決断に賛成したはず。ジュリアさんはそう信じている。