「間違いなく死ぬと思った」 銃撃浴びたジャーナリストが語る、ウクライナの日常
(CNN) ウクライナの首都キーウ(キエフ)郊外で乗っていた車が襲撃され、奇跡的に助かったジャーナリスト2人が3日、CNNの番組に出演し、生き延びられたことは幸運だったと振り返った。
スカイニュース取材班のドミニク・ファン・ヘルデンさんとスチュアート・ラムゼイさんは、キーウに戻る途中で銃撃に遭った。ラムゼイさんは車体を突き抜けてきた銃弾で負傷し、一緒にいたヘルデンさんは助けを呼ぼうとした。
キーウ郊外にある検問所までは、普段であれば車で30分ほどだったが、戦闘が激しくなっているのを感じて不安になり、途中で引き返すことを決めたという。
戦場では常に状況が変化する。その日安全だった道路が翌日も安全とは限らない。一行は三方を戦闘に囲まれる状況に陥り、残された道も安全そうには思えなかったが、それしか選択肢はなかった。
やがて銃撃が激しくなった。
「洗濯機の中にいて銃弾を浴びているような感覚だった」とファン・ヘルデンさんは言う。「もちろん車は回転していなかったが、どこもかしこも銃弾だらけだった」
2人は車の中で身を守ろうとしたが、銃弾は車体を突き抜けた。
ラムゼイさんは、「私は間違いなく死ぬと思った」「車がこれだけ大量の銃弾を浴びて、外れ続けるはずがないと思った」と振り返る。
銃弾が当たったラムゼイさんは、頭から6~9メートル転落して脳しんとうを起こしたらしい。脚の上部に貫通した穴があり、銃弾は腰のあたりから突き抜けていた。「それほど痛みは感じなかった。間違いなくアドレナリンだった」
ファン・ヘルデンさんはその時のラムゼイさんの様子について「驚くほど冷静で、驚くほどしっかりしていた」と語る。「自分が今まさに撃たれて、こんなに恐ろしい経験をしているのに」
2人は隠れ場所を見つけ、外の戦闘が収まるまでガレージの中で4時間も身を潜めた。
「何が起きているのか全く分からなかった」とラムゼイさん。「誰かが私たちを助けに来てくれるのかどうかも、自分たちが今、戦闘の最前線にいるのかどうかも分からなかった」
ファン・ヘルデンさんにとっては、ガレージの中で過ごした時間が最も恐ろしかったという。「私たちはなすすべもなく、どうにもできない状況だった」「第1ラウンドは生き延びたけれど、第2ラウンドは切り抜けられるのか?」
やがて、ウクライナ警察が階段を上がってくる音が聞こえた。助けられたことを「奇跡」と感じたというラムゼイさん。「私たちがこの話をするのは、それが普通の人に日常的に起きていることだからだ」「私たちに対する攻撃に何一つ例外はない」と話す。
無事に脱出できたスカイニュースの2人は幸運だった。ベテランカメラマンでウクライナ人ジャーナリストのピエール・ザクシェフスキーさんは、3月にFOXニュースの取材中、命を落としている。
「最初の1週間くらいは、生きていることに気が高ぶっていた」「しかし同僚が死亡したと聞いて、自分たちがどれほど幸運だったかを思い知った。その理由をただ、考えさせられた」とファン・ヘルデンさんは言う。
ザクシェフスキーさんと親しかったラムゼイさんは、「申し訳ない、それ以上は」と言葉を詰まらせ、答えることができなかった。