世界一過酷なマラソン、史上2度目の3人完走 米テネシー州
(CNN) あり得ないほどの過酷さで知られる「バークリーマラソン」が今年もテネシー州で行われ、男性ランナー3人が完走を果たした。3人が走破したのは同マラソン史上2度目だった。
バークリーマラソンはギャリー・カントレル(ニックネームは「ラザルス・レイク」)さんが発案し、テネシー州のフローズンヘッド州立公園を舞台として毎年開かれている。コースはキング牧師を暗殺したジェームズ・アール・レイが1977年に起こした脱走事件に着想を得て設定された。
同レースはそれぞれ約20マイル(約32キロ)の五つのループで構成される。全長はおよそ160~200キロ。約6万3000フィート(約19.2キロ)の高低差があるうっそうとした森林の中にある。ランナーは3日3晩、眠らずに走り続けなければならず、救護所もなければスマートフォンやGPSのナビゲーションも使えない。山中での遭難や転倒、負傷はこのレースには付き物だ。
コースの途中には無人のチェックポイントがあり、各所にペーパーバックの本が備えられている。ランナーはここで自分のゼッケン番号が入ったページを破り取り、各ループのゴール地点で全ページをそろえて、それぞれのチェックポイントを通過したことを証明する必要がある。
あまりの過酷さから、86年に同レースが始まって以来、これまでに完走したのは17人のみ。カントレルさんによれば、過去5年間は完走者ゼロだった。
しかし今年はついにその空白が破られた。完走したのはフランス人のオーレリアン・サンシェズさん、米国人のジョン・ケリーさん、ベルギー人のカレル・サブさんの3人。17日、地獄のような五つのループを制覇して、60時間の制限時間内にゴールインした。
3人の完走者が出たのは2012年以来だった。
ケリーさんは「応援してくれた皆さん、ありがとう」「僕たち全員、森の中を走り回るただのバカ連中だったとしても、少なくとも楽しめるよね」とツイートしている。
また、完走はできなかったものの、史上2人目の女性として、ジャスミン・パリスさんが第4ループを走り始めた。
「コンディションは最高だった。素晴らしい人たちと一緒に走れて幸運だった」「最初からトレーニングが理想的でないことは分かっていた(疲れによる時間切れ、それからけが)けれど、最善を尽くしたことを誇りに思う。今でも女性の5ループ走破は可能だと思っている。ただ、来年はラズ(カントレルさん)がもっと難しくするかも」。パリスさんはツイッターにそう書き込んでいる。