アカデミー賞に初ノミネート、デミ・ムーアのキャリアを振り返る 「ゴースト」とその後

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「サブスタンス」でのデミ・ムーア/Christine Tamalet/Mubi via AP

「サブスタンス」でのデミ・ムーア/Christine Tamalet/Mubi via AP

(CNN) 映画「サブスタンス」で自身初のアカデミー賞を獲得する可能性がある米俳優デミ・ムーア。だが、今シーズンの賞レースを席巻中のムーアが率直に認めたように、キャリアの集大成となるこの瞬間への道のりは長かった。

表情豊かな美しい顔と独特のハスキーボイスを持ち味とするムーアは、1980年にブラットパック(若手俳優集団)の一員として活躍したのを皮切りに、数十年にわたって映画ファンの注目と尊敬を集めてきた。

ムーアのキャリアはハリウッドの記憶をたどる道しるべとしても参照できる。以下では、ムーアの本領が発揮されたスクリーンでの演技を公開順にいくつか紹介する。

「セント・エルモス・ファイアー」(1985年)

「セント・エルモス・ファイアー」でのメア・ウィニンガムとデミ・ムーア/Columbia/Kobal/Shutterstock
「セント・エルモス・ファイアー」でのメア・ウィニンガムとデミ・ムーア/Columbia/Kobal/Shutterstock

マイナー映画での役やメロドラマ「ジェネラル・ホスピタル」に出演した2年間を経て、ムーアはやはりメロドラマ風のこのブラットパック映画で一躍ブレーク。この中で、ムーアは陽気だがやや不安定なところがあるパーティー好きの少女、ジュールスを演じた。内心では不在の父親や、「モンスターのような継母」の意向を気にしているという役柄だった。

「ゴースト/ニューヨークの幻」(1990年)

「ゴースト/ニューヨークの幻」でのデミ・ムーアとパトリック・スウェイジ/Paramount/Getty Images
「ゴースト/ニューヨークの幻」でのデミ・ムーアとパトリック・スウェイジ/Paramount/Getty Images

超自然スリラーと恋愛映画を融合させたこの大ヒット作で、ムーアはボーイッシュな髪型と底なしの悲しみをたたえた表情を武器に、1990年代の観客に向けて主演女優の役割を再定義してみせた。ハリウッドの古典的な恋愛映画ということで言えば、ムーアがパトリック・スウェイジと演じた挑発的な陶芸のシーンに匹敵するシーンはほとんどない。バックに流れるのは不朽の名曲「アンチェインド・メロディ」だ。

「幸福の条件」(1993年)

「幸福の条件」でのロバート・レッドフォードとデミ・ムーア/Paramount Pictures/Getty Images
「幸福の条件」でのロバート・レッドフォードとデミ・ムーア/Paramount Pictures/Getty Images

「ア・フュー・グッドメン」と並び、「幸福の条件」はヒット作「ゴースト」に続くムーアの最も成功した映画となった。ウディ・ハレルソン、ロバート・レッドフォードの両者とムーアの相性の良さ、それにシャーデーの名曲「ノー・オーディナリー・ラブ」の助けも少しばかりあり、この作品はポップカルチャーの一大現象になった。

「ディスクロージャー」(1994年)

「ディスクロージャー」でのマイケル・ダグラスとデミ・ムーア/Moviestore/Shutterstock
「ディスクロージャー」でのマイケル・ダグラスとデミ・ムーア/Moviestore/Shutterstock

2025年の視点から見るとやや時代遅れなのは間違いないが、ムーアはこのひねりの効いたマイケル・クライトン原作の企業スリラー映画で、男性部下(マイケル・ダグラス)にセクハラする執念深い企業幹部を演じ、話題をさらった。

「Dearフレンズ」(1995年)

「Dearフレンズ」でのロージー・オドネルとリタ・ウィルソン、デミ・ムーア/New Line/Kobal/Shutterstock
「Dearフレンズ」でのロージー・オドネルとリタ・ウィルソン、デミ・ムーア/New Line/Kobal/Shutterstock

この愛すべきコメディードラマは大人になった女友達4人の現在と幼少期をたどるもので、物語の大部分はフラッシュバックの形でムーアによって語られる。共演者はロージー・オドネルやリタ・ウィルソン、メラニー・グリフィス、クリスティーナ・リッチ、ソーラ・バーチなど。この友情映画への愛、そして女優同士の間で育まれた愛は今なお健在だ。

「G.I.ジェーン」(1997年)

「G.I.ジェーン」でのデミ・ムーア/Buena Vista/Getty Images
「G.I.ジェーン」でのデミ・ムーア/Buena Vista/Getty Images

ムーアは女性初の海軍特殊部隊(SEAL)隊員を演じたこの映画で肉体的に過酷、かつ型破りな演技を見せ、引き続き90年代を席巻した。リドリー・スコット監督のこの映画では、ムーアの端正な容姿と剃(そ)り上げた頭も披露され、ムーアの変貌(へんぼう)ぶりが余すところなく示されていた。

「チャーリーズ・エンジェル フルスロットル」(2003年)

「チャーリーズ・エンジェル フルスロットル」でのデミ・ムーア/Moviestore/Shutterstock
「チャーリーズ・エンジェル フルスロットル」でのデミ・ムーア/Moviestore/Shutterstock

ムーアがボンド映画の悪役のような役どころを演じた映画。この大ヒットシリーズ続編でムーアは心機一転、悪役を演じ、「バッドアス」(悪いやつ)という言葉に新たな意味を与えた。ドリュー・バリモア、ルーシー・リュー、キャメロン・ディアスが出演したこの映画には全てが詰まっている。アクションあり冒険ありの内容で、特にビキニのシーンは思い出深く、ムーアとバリモアが昨年のトークショーで再び取り上げたほどだった。

「ボビー」(2006年)

「ボビー」でのエミリオ・エステベスとデミ・ムーア/Weinstein Company/Kobal/Shutterstock
「ボビー」でのエミリオ・エステベスとデミ・ムーア/Weinstein Company/Kobal/Shutterstock

ムーアはこの過小評価されている政治ドラマでブラットパック時代の盟友、エミリオ・エステベス監督と再びタッグを組んだ。ロバート・F・ケネディが暗殺された夜を再現するという内容。ヘレン・ハントやローレンス・フィッシュバーン、アンソニー・ホプキンスといった顔ぶれに混じり、ムーアは決して引けを取らない存在感を発揮した。

「サブスタンス」(2024年)

「サブスタンス」でのデミ・ムーア/Christine Tamalet/Mubi via AP
「サブスタンス」でのデミ・ムーア/Christine Tamalet/Mubi via AP

女性嫌悪と年齢差別に抵抗する力強い声を上げたこの映画で、ムーアは自身をお払い箱にしようとする業界に立ち向かうベテランハリウッドスターの姿を描いた。業界、そして自分自身に対して健在ぶりを見せつけようと思い切った手段に出る姿も描かれ、久しぶりに話題を集めた寓話(ぐうわ)映画となった。アカデミーから高く評価された数少ないホラー映画の一つでもある。

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