FBI長官、アップルのプライバシー保護策を批判
ニューヨーク(CNNMoney) 米アップルが新しいiPhoneなどでユーザーのプライバシー保護対策を強化したことに対し、米連邦捜査局(FBI)のジェームズ・コミー長官がCBSの番組で、「法を逸脱させる」措置だと批判した。
アップルのiPhoneやiPadに搭載されているOSの新版「iOS 8」では、たとえ警察であっても個人のメールや写真などのデータにアクセスすることが難しくなった。
ユーザーが送信するメッセージは端末上で暗号化され、誰にも解読できない状態でアップルのサーバーを通過する。この暗号は、受信する相手のiPhoneのパスコードでしか解除できない。
米グーグルもモバイルOSの「Android」に同じような仕組みを導入すると表明している。
これについてコミー長官は12日に放送されたCBSの番組で、「誘拐や児童虐待やテロなどの事件でも電話が開けないことになる。私に言わせれば、そこまでやるのは行き過ぎだ」と批判。このようなiPhoneを売るのは「裁判所の令状があっても開けないトランクが付いた車」を売るようなものだと力説した。
ただ、コミー長官の発言には誤りがある。確かにFBIがアップルやグーグルに密かに接触してユーザーの端末の情報を開示させることはできなくなる。それでもユーザーに令状を突きつけて正面から開示させることはできる。
さらに、捜査当局が端末のデータにアクセスできるのなら、ハッカーもアクセスできる。FBIがユーザーの情報にアクセスできる裏口を残しておくよう企業に要求するのは問題だ。コミー長官自身が過去に指摘したように、誰もがハッカーに狙われる可能性があるからだ。