IoTの先へ 「羊のインターネット」は何を目指すのか
Wifiの中継点として利用するためには、動物は社会性を持つと同時に、広範囲に散らばっている必要があり、これは無理難題だ。
一方、羊は群れで行動するため、群れが受信基地に近づくまでの間に容易にデータを送信できる。受信基地を経由してランカスター大学に情報が送られてくる仕組みだ。ブレア氏は「羊から羊へと信号が伝わっていく。いわばゴシップのようなものだ」と形容する。
「羊のインターネット」を研究する目標はいたって真剣だ。群れの動きを捕捉し、センサーによって川岸や羊をモニターすることで、洪水や干ばつ、農業汚染などについて、多くの情報を集めることができるようになるかもしれない。羊の排泄(はいせつ)物を通じて病原菌が川に広がり、水道の汚染につながる場合のリスクに対しても、対処策になるかもしれない。
この研究には、IoTを地方部に拡充することを目的に、英国の工学・物理科学研究会議(EPSRC)から17万1495ポンド(約3000万円)の助成金が出ている。北ウェールズのコンウィに研究拠点が置かれており、BBCのテレビシリーズで人気になった羊農家のガレス・ウィン・ジョーンズ氏も協力している。