殺傷兵器にAIは利用せず、米グーグルが新方針
ワシントン(CNNMoney) 米グーグルはこのほど発表した人工知能(AI)に関する基本方針の中で、殺傷を目的とする兵器などの技術は追求しないと表明した。
基本方針は7日に発表され、国際的な常識に反する監視技術や、人権を侵害するAI技術は追求しないとも明記している。
AIをめぐってグーグルでは、ドローンを使って自動的に目標を識別する米空軍のプロジェクトへの参加に関して従業員から批判が噴出していた。同プロジェクトに対しては、人間が監視することなく自動的に目標を追尾して殺害する完全自律兵器へ向けた第一歩になるとの批判もある。
グーグルのスンダー・ピチャイ最高経営責任者(CEO)はブログの中で、「AIがどう開発され、利用されるかは、今後長年にわたって社会に重大な影響を与える」「AIにおけるリーダーとして、我々はこれに正しく取り組む責任を感じている」とした。
同社は今後もサイバーセキュリティーや訓練、兵士の採用、退役軍人の健康管理といった分野では、軍や政府との協力関係を継続する方針。
AIをめぐっては、中国が2030年までにAIで世界を主導すると2017年に発表して以来、軍事利用が世界で脚光を浴びるようになった。
米国防総省は今春発表した新しい国防戦略の中で、未来の戦争に勝つためのAI技術の重要性を強調した。グーグルには世界トップクラスのAI研究者が集まっているが、米軍は今後、グーグル以外の提携先を探す必要に迫られる。