人工の皮膚、ロボットに触覚を与える
人間の肌には1人あたり約500万個の受容体が存在しており、体の表面での出来事を検知して、脳に信号を送っている。ただ、脳が各受容体からの情報を同時に処理するのは不可能だ。そこで、代わりに神経系が優先順位を判断する。
研究チームはこの仕組みをまねて、人間サイズの自律型ロボットの肩から足先に1万3000個以上のセンサーを装着させた。センサーは気温や加速度、対象の接近、圧力を検知できる。
現在、研究チームは大量生産できる小型センサーの開発に取り組んでいる。
ただ、一部の科学者からは、大量生産の可能性に関して懐疑的な声も上がる。英インペリアル・カレッジ・ロンドンのエティエンヌ・バーデット教授はCNN Businessの取材に、センサー1個あたりのコストや脆弱(ぜいじゃく)性が大量生産の大きな妨げになると指摘した。
科学者は長年、触覚を実現する技術の開発にしのぎを削ってきた。11月には米ノースウェスタン大学のチームが、無線式でバッテリー不要の「スマートスキン」を発表。スカイプ通話のようなバーチャルな体験に触覚が加わる可能性も出てきた。