イーロン・マスク氏が謝罪 障害あるツイッター従業員の解雇を公然と揶揄
ニューヨーク(CNN) 米ツイッター経営者のイーロン・マスク氏が、自分が解雇されたのかどうか分からないと訴えた従業員の不安を一笑に付し、この従業員の障害に関する否定的なコメントを書き込んだことをめぐり、謝罪した。
アイスランドを拠点とするツイッターのシニアディレクター、ハラルドゥル・トルレイフソン氏は、マスク氏へのツイートで、9日前から自分のコンピューターにアクセスできなくなったと訴えた。この日ツイッターは従業員約200人を解雇したと伝えられていた。トルレイフソン氏は「人事トップは私が従業員なのかどうかを確認できない」とツイートした。
これに対してマスク氏は6日夜のツイートで「どんな仕事をしていたのか」と尋ね、トルレイフソン氏が自身の職務内容を伝えると、マスク氏は一部に疑問を持ったらしく、別のツイートでトルレイフソン氏について「実際には働かず、言い訳として自分には障害があるのでタイピングができないと主張した」と書き込んだ。
トルレイフソン氏は、自分が進行性疾患の筋ジストロフィーを患い、20年以上前から車いすを使っていることを説明した。同氏はデジタルブランディング会社を設立し、アイスランドの首都レイキャビクに車椅子用のスロープ1000基を建設する慈善事業を推進した功績で国連やアイスランド大統領に評価されていた。同氏の会社は2021年にツイッターに買収された。
トルレイフソン氏は、キーボードやマウスを使う作業を長時間続けると手が動かなくなってくると説明、「それでも一度に1~2時間は書くことができる。ツイッター1.0ではこれは問題にならなかった。私はシニアディレクターで、私の仕事はチームの前進を助け、戦略的・戦術的アドバイスをすることだったので」と述べている。
CNNはトルレイフソン氏にコメントを求めたが、すぐには返答はなかった。ツイッターは広報部のほとんどの人員を削減しており、やはり返答はなかった。
マスク氏とのやり取りの後、トルレイフソン氏はツイッターへの投稿で、自分が解雇されたことをツイッターの人事が確認したと説明。「それは全然問題ない。常に起こることだ。普通はそれについて教えてもらえるが、今のツイッターではオプションらしい」「次に考えなければならないのは、ツイッターが私との契約に従って支払うべきものを支払ってくれるかどうかだ」と書き込んだ。
マスク氏は7日、トルレイフソン氏の状況を誤解したとツイッターで釈明し謝罪。「彼の状況を誤解したことについて、ハリ(トルレイフソン氏)に謝罪したい。私に伝えられたことに基づいていたが、真実ではない、または場合によっては真実であるが意味がないことだった」と投稿。トルレイフソン氏が「ツイッターでの勤務を引き続き継続することを検討している」とした。
マスク氏はツイッターを買収後、複数回の人員削減を進めた。買収前に約7500人いた従業員を2000人未満に削減。現在、数百人の元従業員らが、契約違反や障害のある従業員に対する差別があったとして、同社に対し訴訟を起こしている。