イタリアの隠れた名所、モリーゼを訪れる
4.内陸部に点在するゴーストタウン
モリーゼ州の内陸部には、崩れかけた中世の村々や要塞化された城が点在する。
住民ははるか昔に移住したり、相次ぐ地震でこの地を去ったりして、現在、訪問者を出迎えてくれるのは自由に草を食べている馬たちだけだ。
モリーゼ州のコムーネ(基礎自治体)の1つ、ロッケッタ・ア・ヴォルトゥルノは、壊れた石畳の道やほこりだらけのフレスコ画のある教会、ちょうつがいの外れたドアからなる迷路のような場所で、動物の画像やガーゴイルで装飾されたアーチや、古代の墓地、水路、サン・ヴィンチェンツォ・アル・ヴォルトゥルノ修道院などが見られる。
5.すべての住民がイタリア語を話すわけではない
パニーノを求めて立ち寄ったカンポマリーノ、ポルトカンノーネ、モンテチルフォーネ、ウルーリで、人々がイタリア語に聞こえない変わった言葉を話していても驚くことはない。単にモリーゼ州の「リトルアルバニア」に足を踏み入れただけだ。
これらの地域の方言は、アルベレシュと呼ばれるアルバニア語の一種だ。
13世紀にトルコの迫害を逃れたアルバニア人たちがこの地に住み着いた。彼らは今も、古くから伝わる伝統を守っており、子どもたちは学校で母語を学び、道路標識もイタリア語とアルベレシュの両方で書かれている。
ワインで有名なカンポマリーノでは、アルバニアの風習を描いた壁画が数多く見られる。またウルーリは、「カレッセ」と呼ばれる雄牛が引く荷車のレースで知られる。数百年の歴史を持つこのレースは、毎年5月に開催される。