マチュピチュの新空港、反対押して建設に着工 ペルー
(CNN) 南米ペルー政府はこのほど、インカ遺跡で有名なマチュピチュの玄関口となる新しい国際空港を建設する作業が始まったと発表した。空港建設に対しては、「聖なる谷」と呼ばれる周辺の遺跡や環境に影響が及ぶとして反対運動が巻き起こっていた。
山頂に築かれたマチュピチュ遺跡は険しい山脈や渓谷に守られて、何百年もの間、近寄りがたい場所だった。しかし新空港ができればかつてなくアクセスが容易になる。
新空港は、現在マチュピチュへの玄関口となっているクスコの町とマチュピチュ遺跡との間にあるチンチェロに建設される。
空港建設に反対してインターネットで署名運動を展開しているペルーの美術史家は、「歴史的にも考古学的にも世界最重要級の地の保全が危険にさらされる」と危機感を募らせる。
嘆願書にはペルー国民や各国の学術関係者、地元住民から署名が寄せられ、ビスカラ大統領に対して計画中止を求めていた。
アンデス地域の歴史を研究する英ケンブリッジ大学のガブリエラ・ラモス氏も署名を寄せた1人。同氏は排水の問題やクスコなどへの水供給に与える問題、土壌の問題などを指摘し、「あらゆる問題がありながら、なぜ計画が遂行されるのか理解に苦しむ」と訴える。
一方。ビスカラ大統領は23日に記者団に対し、「15年以上かけて専門家が調査した結果、これが最も適した代替策だと判断した」と強調した。
計画によると、新空港は現在クスコにある空港よりも大型の航空機に対応でき、幅広い国への国際便を運航できる。これにより、ペルー南部を訪れる観光客の増加を見込む。
マチュピチュ遺跡はただでさえ観光客の急増が大きな問題になっている。今年1月からは新しいチケットが導入され、観光客の入場を決められた時間帯に制限する措置が取られた。