絵画に描かれたホテルを再現、宿泊も可能 米美術館が企画展
(CNN) 米バージニア州リッチモンドの美術館が、米画家エドワード・ホッパーの描いた世界を実際に体験できる来場者参加型の企画展を開催している。作品に描かれたホテルの一室が再現され、その部屋に宿泊することもできる。
ホッパーは米国の日常的な光景を描いた20世紀の画家。都会暮らしの孤独や疎外感を感じさせるリアルな作風で知られる。
バージニア美術館で2020年2月23日まで開催中の「エドワード・ホッパーとアメリカのホテル」には、ホッパーの絵画60点をはじめ、米画家ジョン・シンガー・サージェント、英画家デービッド・ホックニー、米写真家ベレニス・アボットらの作品が展示されている。
中でも目を引くのが、ホッパーの代表作のひとつ「ウェスタン・モーテル」に基づく立体展示だ。
絵画ではホテルの一室に、ベッドと同じ色のノースリーブのワンピースを着た女性が座っている。展示スペースには、この女性を除いた室内の様子が忠実に再現された。
ホッパーの代表作のひとつ「ウェスタン・モーテル」/VCG Wilson/Corbis/Getty Images
運が良ければこの部屋に宿泊することもできる。期間中の水、金、土曜日に閉館後、午後9時から翌朝の8時まで滞在するプランで、料金は150ドル(約1万6000円)から。館内のカフェとレストランで使える25ドル分のギフト券や展示の特別観覧券、近くにあるホテルでのゴルフ券も含まれている。
2人分のディナーと専属ガイドによる見学ツアーが付いた500ドルのプランもある。
館内での飲酒は禁止だが、ホッパーの時代に好まれた昔懐かしい軽食が提供される。
美術館の中に絵画に描かれたホテルの一室を再現した/Travis Fullerton/Virginia Museum of Fine Arts
ただし当然ながら、バス・トイレ付ではない。部屋に備えられたバスローブと室内履きで、近くの公共施設まで歩くことになる。
同美術館の広報担当者によると、宿泊客を受け入れるのは初めての試み。宿泊日には「ゲストと作品の安全を確保する」ため、展示コーナーの出口付近に一晩中、専任の警備員を配置しているという。