高速輸送システム「ハイパーループ」、初の有人試験を実施
ワシントンDC(CNN Business) ヴァージン・ハイパーループが開発を進める高速輸送システム「ハイパーループ」が米ネバダ州ラスベガスで初の有人による試験運用を実施した。商用化に向けた大きな節目となった。
ハイパーループはまだ実証されていない輸送システムで、乗り物に乗った利用者は真空のチューブの中を最高時速600マイル(約965キロ)で移動する。このシステムには磁気浮上などの技術が使われている。
今回の試験運用では時速100マイルまでの到達となった。軌道が500メートルの長さしかなかったためで、速度が制限された。
それでも、ヴァージン・ハイパーループの幹部は今回の試験を大きな節目であり、商用化に向けた前進とみている。
最初の試験運用には同社の幹部2人が搭乗した。2人乗りの乗り物でシートベルト、シート、小さな窓がついている。
同社幹部はCNN Businessの取材に対し、ハイパーループは航空機の速度で移動できるが、エネルギー消費はわずかだと述べた。
ハイパーループは各都市を結ぶことを想定している。将来的には乗り物には25~30人が搭乗し、1時間あたり数万人を輸送することを目指している。
同幹部はハイパーループのシステムは2025年か26年には承認を受け、10年以内にプロジェクトを実現するとの見通しを示した。
だが、ハイパーループに興味を示しているのはヴァージン・ハイパーループだけではない。テスラやスペースXのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)も13年に同様の構想を発表。17年には首都ワシントンとニューヨークを結ぶトンネル建設の口頭の承認を政府から得たと発言したが、環境評価で時間がかかり完成時期の見通しが明らかとなっていない。このトンネルは両都市を29分で結ぶことを目指している。
また、マスク氏のベンチャー企業「ボーリング・カンパニー」は都市の地下でのトンネル建設に注力。トンネルの真空化は必要とせず、テスラの車に乗ったままハイパーループより低い速度で移動するサービスを目指している。同社もラスベガスに「ループ」と呼ばれるシステムを建設中。