スーパージャンボ機A380、ファンむき出しのエンジンつけて試験飛行へ
(CNN) エンジンのファンを露出させた最先端技術「オープンファン・エンジン・アーキテクチャー」の実証機として、世界最大の旅客機「エアバスA380」が採用された。新技術により二酸化炭素(CO2)排出量を最大20%削減できる可能性もある。
このプロジェクトは今月19日、エアバスと航空エンジン大手CFMインターナショナルが英ロンドン郊外のファンボロー航空ショーで発表した。ファンボロー航空ショーは業界の見本市で、航空宇宙関係の最新技術が紹介される。
「スーパージャンボ」と呼ばれるA380は近年、運命の浮き沈みを経験してきた。多くの人に愛されたA380だが、需要不足を理由に2021年に生産中止に。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)中、既存の機体は各航空会社によって飛行停止とされていたが、最近は旅行需要を追い風に飛行を再開した。
CFMは米ゼネラル・エレクトリック(GE)と仏サフラン・エアクラフト・エンジンズが出資する企業で、「持続可能なエンジンのための画期的な技術革新(RISE)」実証プログラムの一環で先進的な推進技術を開発している。
現在の目標はA380で飛行試験を行い、技術の成熟と加速を図ること。このA380は20年代の後半、フランス南部トゥールーズにあるエアバスの飛行試験施設から飛び立つ予定だ。
これに先立ち、CFMは米カリフォルニア州ビクタービルにあるGEの施設でエンジンの地上試験なども行う。
飛行試験プログラムの目的はエンジンと主翼の統合や空力性能について理解を深め、現状最も燃料効率の良いエンジンよりCO2排出量を2割減らせる燃費の良さを実証し、持続可能な航空燃料(SAF)を100%使用した際の適合性を確認することにある。
航空業界は50年までにCO2排出量ネットゼロ(実質ゼロ)とする野心的な目標を掲げており、今回の新技術が目標達成を後押しする可能性もある。
エアバスのザビーヌ・クラウケ最高技術責任者(CTO)は声明で、「新たな推進技術は新しい機体設計や持続可能なエネルギー源と並び、航空業界のネットゼロの目標を達成するうえで重要な役割を果たす」と指摘した。
エアバスは今年、35年までに排出量ゼロの航空機を開発するという目標に向け、A380に搭載する実験的な水素エンジンを試験すると明らかにしていた。これもCFMインターナショナルとの提携プロジェクトとなる。