米中流層の凋落続く 貧富の差の拡大が浮き彫りに
ニューヨーク(CNNMoney) 米国の中流層は収入・資産の減少に悩むとともに貧富の差の拡大から社会に占める割合も減少の一途をたどっている――。米調査機関ピュー・リサーチ・センターが23日までに発表した調査で、米国における中流層の厳しい現実が浮き彫りとなった。
同センターは報告書の中で「米国の中流層は近代史上最も厳しい10年に耐えてきた」と指摘。「中流層の割合自体が縮小したほか、収入や富も減り、中流層に特有の将来への期待感の一部を失った」と説明している。
報告書によれば、10年前に比べ生活水準を維持するのが難しくなったと答えたのは自分を中流層だと認識している人の85%に上った。また、米国社会における中流層の割合は51%で、1971年の61%に比べると縮小傾向にあるのがわかる。
住宅価格の下落により資産規模も大きく縮小した。中流層の平均総資産額(不動産や退職金積立から債務を引いた額)は9万3150ドル(2010年)で、01年の12万9582ドルから28%減少した。この間、富裕層の資産額は1%増加している。
収入面でも中流層は大きな打撃を被っている。4人世帯の中流層の収入は10年前より3000ドル減の7万ドル。第2次世界大戦後初めて、全ての階層で収入が下がってはいるものの、下げ幅は他の階層に比べ最も大きかった。
こうした経済的困難を招いた原因について尋ねたところ、連邦議会だと答えた人は最多の62%で、金融機関と答えた人は54%だった。ブッシュ前政権に責任があると答えたのは44%だったのに対し、オバマ政権が悪いと答えたのは34%だった。