再選を祝う間もなく――オバマ大統領を待ち受ける課題山積
新しい時代に合った雇用を創出し、新しい業界で競争力をつけるためには、新たなモデルを受け入れ、新たなインフラに投資し、外国からの投資を歓迎して規制や税制の簡素化を進め、変化に抵抗する利益団体と闘わなければならない。
こうした変革が難しいのは、わが国の政治制度が壊れているからだ。政治家への献金を無制限に集められる「スーパーPAC」(特別政治行動委員会)を通して選挙運動に巨額の資金が投じられ、それでも投票率は振るわない。二大政党制の議会はこう着状態や責任転嫁ばかりが目立ち、選挙区操作や議事妨害といった小手先の戦術が横行している。
米国に次ぐ経済大国となった中国でも近く、10年に一度の指導部交代が予定されている。両国の政治体制はまったく異なるものの、変化に抵抗する構造となっている点は共通する。中国の次期指導者もまた、深刻な課題に直面し、激変する政治、経済への対応を強いられるだろう。
この課題に対応するために、オバマ大統領は野党だけでなく与党にも立ち向かわなければならない。何よりもまず、常識や古いモデルを覆し、ワシントンが最も苦手とする「真の創造性」を引き出す必要がある。
米国は今こそ、信じられるだけでなく、目に見える変革を断行するべきだ。さもなければ、米大統領選より中国の指導部交代の方が重要視される事態にもなりかねない。