米下院議長、最富裕層の増税案を提案 「財政の崖」回避に向け
ワシントン(CNN) 米国で年明けに減税措置の打ち切りと歳出削減が重なる「財政の崖」の回避に向けた与野党協議で、野党共和党のベイナー下院議長が、最富裕層向けの増税に応じる構えを示している。米政治ニュースサイト「ポリティコ」が報じ、協議の内容に詳しい情報筋が15日、CNNに確認した。
同情報筋が匿名を条件に語ったところによると、ベイナー議長は、年収100万ドル(約8400万円)を超える最富裕層の税率を1990年代の水準まで引き上げる一方、100万ドル以下の全世帯について減税を続行するとの案を提示した。
ベイナー議長が増税を容認すれば、交渉に突破口が開く可能性が高まる。ただ、同議長の報道官は「(ホワイトハウスとの)接触は続いているが、合意は成立していない」と述べた。
ただ、同議長は見返りとして、メディケア(高齢者向け公的医療保険)の対象年齢引き上げや社会保障給付の算出方式の変更などによる大幅な歳出削減を求めている。オバマ大統領がこれらをすべて受け入れる可能性は低いとされる。
大統領側は選挙での公約通り、年収25万ドルを超える層への減税打ち切りを求めてきた。ベイナー議長はこれに対し、不要な控除や抜け穴を排除することで税収増を図るべきだと主張。増税への強硬な反対姿勢に、ホワイトハウスや民主党議員からはもちろん、実業界や一部の共和党議員からも批判的な声が上がっていた。