迫る財政の崖 「合意は見えてきた」オバマ米大統領
(CNN) 年明けに増税と歳出の自動削減が重なる「財政の崖」が迫る中、米議会では期限である現地時間12月31日深夜までに回避策が可決される見通しは立っていない。
オバマ米大統領は31日午後、ホワイトハウスで記者会件を行い、財政の崖回避に向けた与野党の合意が「見えてきた」と述べた。また、共和党のマコネル上院院内総務も「(合意は)間近だ」と語ったが、下院は31日に何の採決も行わずに休会した。
オバマ大統領は、現在審議中の案が合意に至れば、大多数の国民に対する増税が回避されるほか、子どものいる家庭やクリーンエネルギー企業を対象とした税控除が延長され、さらに200万人の失業保険給付も延長されると指摘。ただし、その場合でも、議員らは1月2日から開始予定の大幅な歳出削減がもたらす影響の軽減策を模索する必要があると付け加えた。
複数の情報筋によると、31日午後に審議されている案には、高所得者に対する税率をクリントン政権時代の水準に戻すことや、遺産税の増税、失業保険給付の延長、1100億ドル規模の自動的な歳出削減の先延ばしが盛り込まれているという。
また同案では、ブッシュ政権時代に導入された年収40万ドル超の個人および同45万ドル超の世帯を対象とした減税措置を打ち切ることにより、6000億ドルの歳入確保を見込んでいる。現在、これら高所得層に対する税率は35%だが、クリントン政権だった2000年と同じ39.6%に引き上げられる。
また遺産税も税率が35%から40%に引き上げられ、年収25万ドル超の個人および同30万ドル超の世帯の項目別控除に上限が設定される。
31日深夜の期限が近付く中、各政府関係機関は対応に追われている。国防総省の関係者によると、2013年に歳出削減が実行されれば同省の総予算の約12%に当たる620億ドルの予算がカットされ、最大で80万人の民間の雇用者に無給休暇を命じることになるとしている。