米国税当局の長官代行を解任、保守系標的の税審査遅延で
(CNN) 米国の国税当局である内国歳入庁(IRS)で「ティーパーティー」(茶会)など保守系団体が申請した免税措置の審査を厳しくし適用を遅延させていた疑惑が発覚し、オバマ大統領は15日、IRSのスティーブン・ミラー長官代行の更迭を発表した。
オバマ氏は報道向け声明で、IRS査察部門が14日に公表した報告書で失態が明らかにされたとし「釈明の余地がない」と糾弾。「米国民が怒るのは正しい。私も怒っている」と述べた。政治的な問題が絡むべきではないとし、議会と歩調を合わせて調べて再発防止に向けた措置を講じることを明らかにした。
長官代行の更迭は、ルー財務長官が求め、承諾されたとしている。ミラー氏はIRS内部向けのメッセージで6月初旬に退任することを伝えていた。
IRSによると、ミラー長官代行は副長官時代だった2012年5月、保守系団体を標的にした免税措置審査の実施を承知していた。同年7月に連邦議会の委員会でこの問題を質された際にも事実関係を明らかにしていなかった。同氏は12年11月に長官代行に昇格していた。
IRS査察部門の報告書によると、保守系団体を狙い撃ちにした追加審査は、免税措置の申請先が政治活動に関与していた場合、その資格を失う規定を念頭にして実行された。10年初期から始まり、18カ月以上続いたという。
保守系団体が申請した場合、政治活動への関与確認には注意を払わず、その団体名や政策を基に審査方法を選んでいたという。報告書は、この審査方法の実施については外部の介入なしにIRSの内部決定で進めていたとし、免税措置の申請が殺到する事態を回避する対抗策の意味合いもあったとしている。