米規制委、原発31基の改良を指示 福島の事故を教訓に
ワシントン(CNN) 米原子力規制委員会(NRC)は6日、米国内の原子力発電所のうち、炉心溶融を起こした東京電力福島第一原発と似た設計の原子炉31基について、事故が起きた場合に放射性物質の放出などを食い止めることを目的とした対策強化を指示した。
対象となるのは、福島第一原発と同様の沸騰水型原子炉。NRCの指示では、非常時に格納容器からの圧力を発散させるベントシステムの改良を求めた。さらに、ベント設備は気温や水素濃度、放射線レベルの上昇に対して安全に対処できなければならないとした。
この措置には、もし炉心溶融が起きた場合でも、発電所の担当者が確実にベントを作動させ続けることができるようにする狙いもある。
NRCは日本での事故を受けて昨年も米国内の発電所に対し、ベントシステムの改良を指示していた。
NRCのマクファーレン委員長は、「ベントを改良すれば、万が一非常システムで直ちに事故を食い止められなかった場合でも、公衆と環境を守る一助となる」「たまった圧力や水素を安全に放出することで、放射性物質を封じ込めている建物を守ることができる」と指摘した。
米原子力発電運転協会(INPO)の調査報告によれば、福島第一原発の炉心溶融では、格納容器の圧力が設計限界の2倍を超え、ベントシステムを動かすための電力も空気もなかったとされる。
ベントシステムの改良は2014年を目標とし、もし必要と判断されればさらに時間をかけて追加的措置を講じる。