お金持ちは好き?嫌い? 愛憎入り交じる米国人
ニューディール時代に始まった社会保障政策でさえ、プログラムが制定された当時は不評だった。
米国で富裕層への課税強化が支持されるのは、徴収された税金が教育や職業訓練といった将来的に機会の平等につながるような具体的な政策に投入される場合に限られるという。
もっとも、格差拡大が深刻化しつつあるかにみえる現在、富裕層に共感的な姿勢も変化しているようだ。米国経済は景気後退から回復しつつあるものの、その追い風を受けることができたのは富裕層のみ。
多くの富裕層は資産の大半を株式に投入しており、株式市場が回復し企業利益が増大するなか、その恩恵を強く受けた格好だ。他方、雇用創出や昇給の動きは依然として鈍いままであり、一般の米国人の生活はそれほど好転していない。米国の中産階級はいまだ不況の苦しみにあえいでいる。
この結果、左派系シンクタンクの経済政策研究所(EPI)の調べによると、企業の最高経営責任者(CEO)の収入は、平均的な労働者の300倍近くにまで膨れあがった。米国経済が景気後退から脱却した後、格差はむしろ拡大したといえる。