米ウィスコンシン州でも警官不起訴 19歳黒人少年射殺
(CNN) 米ウィスコンシン州の警察官が3月に19歳の黒人少年を射殺した事件で、同州デーン郡の検察は12日、この警官を不起訴にすると発表した。
死亡したトニー・ロビンソンさんは3月6日、同州マディソンで白人のマット・ケニー警察官に撃たれて死亡した。米国では各地でアフリカ系(黒人)米国人が白人警官に射殺される事件が相次いでおり、ロビンソンさんの死を巡っても抗議運動が巻き起こった。
イスマエル・オザンヌ検察官は、通報電話の内容や薬物検査の結果、ケニー警察官の証言などをもとに事実関係を調べた結果、同警察官の銃の使用に違法性はなかったと認定、ロビンソンさんの死は「痛ましい不運」だったと結論付けた。
薬物調査の結果、ロビンソンさんが事件前に麻薬成分を含むマジックマッシュルームやマリフアナなどの薬物を使用していたことが確認されたという。警察が出動する前にかかってきた通報電話は、ロビンソンさんが周りの人に襲いかかっているという内容だった。
検察のこの判断について、ロビンソンさんの祖母のシャロン・アーウィンさんは12日、報道陣に対し「これは政治であって正義ではない」と批判した。
ジョン・ロービー弁護士は、遺族は今後も調査を続けると表明。この事件に対する抗議デモは支持するとしながらも、「デモが暴徒化することがあってはならない。平静を保ってほしい」と訴え、「米全土で起きている暴動によって、社会の一部で恐怖や憎しみ、暴力が正当化されてしまうことを懸念する」と指摘した。
ロビンソンさんが射殺された現場の近くではこの日もデモが行われ、参加者たちは「黒人の命は大切だ」などと書かれた横断幕を掲げている。