トランプ氏が安保戦略、中ロは「競合勢力」 歴代政権批判も
ワシントン(CNN) トランプ米大統領は18日、米政権による外交政策の指針として議会への提示を義務付けられている「国家安全保障戦略」を発表した。歴代大統領の政策を批判し、国内の経済成長など自身の業績を誇示する内容が目立った。
政権幹部らはトランプ氏の就任直後から国家安全保障戦略の策定に着手し、同氏が大統領選期間中や就任後の演説で訴えた内容を取り入れて48ページの文書を作成。トランプ氏が先週の閣議でこれを承認していた。
オバマ前大統領やブッシュ元大統領は国家安全保障戦略を文書の形で議会に提出したが、トランプ氏は同日、ワシントン中心部の講堂で軍幹部や閣僚らを前に口頭で発表した。大統領選での公約から一貫して国益最優先としてきた印象を強める狙いがあったとみられる。
トランプ氏はこの演説で、米国の指導者は今まで「だれの声を尊重し、だれの利益を守るべきかを忘れていた」「米国の理念から遠ざかり、米国の使命を見失い、米国の偉大さを信じられなくなっていた」と主張。過去の政権が下した移民政策、イラン核合意、貿易協定などをめぐる判断のせいで米国は後れを取ってきたとの見方を示した。
そのうえで「米国の成功は必然でなく勝ち取るもの」「競合相手は強く、しぶとく、長期戦の構えだが、我々も同じだ」と述べ、米国再生への意欲を前面に打ち出した。
具体的にはロシアと中国を「競合勢力」と位置付け、米国はあらゆる力や手段を使って競う必要があると強調した。
一方で、地球温暖化対策の国際的な枠組み「パリ協定」など、他国との協力態勢を率いる役割には否定的な見方を示した。
演説直前に公開された文書版は中ロ両国を「米国の価値観や利益に反した世界への転換を図る勢力」と批判し、ロシアによる政治介入や情報操作の問題にも言及していたが、演説での発言はこれに比べると柔らかい表現にとどまった。