トランプ米大統領、最高裁判事にカバノー氏指名
ワシントン(CNN) 米国のトランプ大統領は9日、米連邦最高裁判所の判事にブレット・カバノー氏(53)を指名した。米上院で人事案が承認されれば、今月末で退任するアンソニー・ケネディ判事の後任となる。
連邦最高裁ではこれまで、リベラル派と保守派の間で判断が分かれるケースでは、ケネディ判事の意見によって判決が左右されてきた。人工妊娠中絶やアファーマティブ・アクション(積極的差別是正措置)、LGBTの権利をめぐる裁判などでは、ケネディ判事がリベラル側につくこともあった。
カバノー氏は首都ワシントン連邦控訴裁判所の判事。イエール大学ロースクールを卒業後、両ブッシュ政権下で働いたほか、ケン・スター特別検察官が担当したクリントン元大統領の疑惑捜査にもかかわった。
トランプ大統領はホワイトハウスでカバノー氏の指名を発表し、「問題なのは判事の政治的見解ではなく、そうした見解を差し置いて、法と憲法で求められることができるかどうかだ。私は間違いなくそうした人物を見つけた」と述べ、同氏を「我々の時代において、特に優れた鋭い法的思考の持ち主」と位置付けた。
米上院では10日からカバノー氏の承認に向けた手続きが開始される。
カバノー氏は全米で中絶が合法化されるきっかけとなった1973年のロー対ウェイド判決について、表立って反対は唱えておらず、同性愛者の権利や同性婚について発言した記録もない。それでもこうした問題については、米民主党議員から厳しい質問が浴びせられる見通しだ。
同氏はまた、大統領の在任中は刑事責任や民事責任を問うべきではないとする立場を示唆している。トランプ大統領がロバート・マラー特別検察官による捜査の対象となり、民事訴訟の可能性も浮上する中で、この問題は大きな焦点となる可能性もある。