特別検察官報告書、司法妨害ないとの結論には至らず
ワシントン(CNN) トランプ米大統領による司法妨害などの疑惑について、マラー特別検察官がまとめた捜査報告書を18日、米司法省が一部を黒塗りにした上で公表した。
報告書では、トランプ大統領による司法妨害の疑惑が完全に晴れたわけではないと指摘。米大統領選へのロシア介入疑惑を巡る捜査に対して影響力を行使しようとしたトランプ大統領の言動についても、新たな事実が明るみに出た。
報告書によると、トランプ大統領は側近に対し、捜査への影響力を行使するよう何度も指示していた。「大統領は捜査に対して影響力を行使しようとしたが、大部分は不成功に終わった。しかしそれは、大統領を取り巻く人物たちが、指示に従うことや、要求を受け入れることを拒んだためだった」とマラー特別検察官は記している。
ロシアとの共謀疑惑に対する捜査では、選挙への介入を目的としたロシアの不法行為によってトランプ陣営が恩恵を受けられることを、陣営のメンバーが認識していたと指摘した。
報告書は448ページあり、その内容は、バー司法長官が先に公開した書簡で示した見方とは明らかに異なる。バー司法長官は18日午前、報告書の公表に先立ち、マラー特別検察官による捜査では、ロシア政府との共謀疑惑は立証できず、捜査妨害についてもマラー氏は結論を出さなかったと述べていた。しかし報告書に描かれていたのは、それよりもはるかに複雑な内容だった。
共謀疑惑と司法妨害疑惑の両方について、新たに明るみに出た事例も複数あることから、今後議会ではトランプ大統領に対する追及が強まる公算が大きい。バー司法長官に対する野党民主党の批判が一層高まることも予想される。
マラー特別検察官は、現職の大統領を起訴することはできないという司法省の意見を受け入れたと記した。一方で、大統領による司法妨害の罪を問うことはできないとしたトランプ陣営の主張は退けており、議会がトランプ大統領に対する捜査を続ける可能性を残している。
「大統領が米国憲法に基づく権力の行使によって司法を妨害したと認定できるかどうかについては、議会がその権限を通じて大統領の権力乱用を防止できるとの結論を出した」と報告書は記している。