トランプ氏、会計事務所と連邦検事を提訴 納税記録の提出阻止図る
ワシントン(CNN) トランプ米大統領は20日までに、会計事務所マザーとニューヨーク地検のサイラス・バンス検事を相手取り、会計記録や納税申告書の検察への提出阻止を求める訴訟を提起した。大統領在任中は訴追対象になりえないとしている。
大統領捜査を視野に入れる検察へのけん制として最も目立つ動きとなっている。トランプ氏の私的な法律チームが在任中は刑事捜査を免除されるべきとの主張を連邦裁判所に展開するのは初めて。
トランプ氏の弁護士は訴状の冒頭で学術論文を引用し、「現職大統領が在任中に『刑事手続きの対象』にならないことについては、事実上『全ての法律専門家が同意』している」と指摘。「だが、ニューヨークの郡検察は、我が国の歴史上おそらく初めてそれを試みている」と述べた。
訴状はバンス氏の動きについて、大統領に「嫌がらせ」を加え、再選に向けた選挙戦に打撃を与える政治的な動機があると主張。バンス氏が発行した召喚状についても、現職大統領に対する捜査の試みであり違憲だとしている。
その一方で、現職大統領が刑事訴追や捜査の対象になりうるか「裁判所が正面から検討する必要に迫られたことはない」とも認めた。
マザーはトランプ氏個人や一族の中核企業トランプ・オーガニゼーションの会計を担っている。CNNは16日、バンス検事がマザーに対し、ポルノ女優らへの口止め料支払いを巡る捜査の一環として8年分の納税申告書の提出を命じたと報じていた。
召喚状は先月29日にマザーに送付され、納税申告書以外にもトランプ氏絡みの企業に関連する財務書類や、やり取りの記録を提出するよう求めている。