米弾劾裁判、質疑応答の局面へ 進行手順を解説
(CNN) トランプ米大統領の弾劾(だんがい)裁判は29日、質疑応答の場面に進んだ。今後2日間で最大16時間が費やされる。
上院議員はこれまで黙って自席に座らされ、電子機器を使うこともなく、裁判の進行に耳を傾けていた。彼らの前では検察官役の下院の管理人がトランプ氏の罷免(ひめん)を、大統領の弁護団が無罪を、それぞれ主張してきた。
そして今、過去7日間の審理でメモに書きためた質問を投げかけるときがきた。実際には上院議員自身は発言をしないが、彼らの手書きの質問文が裁判長を務めるジョン・ロバーツ最高裁長官によって大きな声で読み上げられる。
質疑応答はどのように行われるか?
上院議員は29日と30日、手書きの質問文を提出し、下院の管理人や大統領の弁護団による回答が行われる。共和党と民主党は交互に質疑を行う。時間は1日最大8時間。
議員は質問を管理人、弁護団のどちらに向けてもいい。ただ、共和党は大統領の主張の補強を助けようと弁護団側に多くの質問を投げかけ、反対に民主党は自身の主張を強めるために管理人に多くの質問を行うだろう。
質問はどのように準備される?
上院議員は党幹部が質問を整理できるよう、自分が考えた質問を事前に電子メールで送っておく。その後、質問文は上院の特別な質問フォームに手書きで書かれ、裁判長に提出される。
質問文はロバーツ長官が読み上げる演台に複数枚の紙で届けられる。
ロバーツ長官に提出される質問フォーム/Obtained by CNN
民主・共和両党の幹部は幹部会を開き、質問を整理する。集中的に審議が行えるように、同じ質問の繰り返しを避けたり、テーマごとに質問をまとめたりする。似たような質問を複数の議員が提起しているときは、共同提案者としてまとめるように求められることもある。超党派の質問が出る可能性もある。
共和党関係者は29日の最初の休憩前に10~12個の質問を行う予定と語った。
上院議員が質問にかける時間は?
上院多数派の共和党マコネル院内総務は28日、クリントン元大統領の弾劾裁判では「上院議員は熟慮した手短な質問を行い、管理人や弁護団は簡潔に回答した」と言及。議員はこの例にならうことを望むと語った。
管理人や弁護団が各質問への回答にかける時間は?
下院の管理人もトランプ氏の弁護団も、各質問には5分間の回答時間がある。これは1999年のクリントン元大統領の弾劾裁判の際に当時裁判長を務めたウィリアム・レンキスト氏が設定したもの。
関係者は、5分ぴったりの厳密な時間厳守までは求められていないとの認識を示し、回答によって多少長かったり短かったりするだろうと語る。
質疑応答終了後のステップは?
30日夕に質疑応答が終わると、その後4時間の討論が予定されている。両者2時間ずつ割り振られ、証人召喚や文書提出を命令するかについて議論する。
弾劾裁判の手続きに関する決議によると、この討論の後、「弾劾規則の下で命じられれば、上院の審議が続く」と規定されている。だが、上院議員は弾劾裁判の議場で話すことは禁じられているので、実際どのように審議が行われるのか、またそもそも審議を行うのかについて、上院議員や関係者はやや不明瞭な状況にある。
議員らは非公開の協議を行うための投票を行うかもしれないが、両党の幹部ともできる限り公開協議は望まないとの意向を示している。今後数日で方向性が見えるだろう。
証人を召喚するかを決める投票はいつ?
共和党のジョン・コーニン上院議員(テキサス州)は28日、証人召喚や文書提出を強制するかを決める重要な議決について、31日にも行われる可能性があるとの見通しを示した。
もし証人召喚による審議延長を否決した場合、弾劾条項の最終審議へと進む前に、別の申し立てが行われる可能性がある。その内容はまだ不明。
弾劾条項の最終決議の時期は、まだ多くの不確定要素があるため正確な予測が困難だ。来月1日か、3日か、または長期間の審議を行うことが決まれば、さらにずれ込むことになる。