サンダース氏勝利のニューハンプシャー州予備選、5つのポイント
ニューハンプシャー州ナシュア(CNN) 米大統領選に向けた野党・民主党候補者選びの第2戦となったニューハンプシャー州予備戦は、左派のサンダース上院議員が中道派のブダジェッジ前インディアナ州サウスベンド市長を小差で抑えて念願の勝利を収めた。
サンダース氏は同州での勝利でトップランナーの地位を固めたものの、獲得代議員数はブダジェッジ氏と並ぶ見通し。初戦のアイオワ州と合計すれば、ブダジェッジ氏が小差でトップに立つことになる。
クロブシャー上院議員は予想を大きく上回る健闘で3位に食い込み、中道派の先頭をブダジェッジ氏と争うポジションに立った。
指名獲得レースはこの後、中南米系有権者の多いネバダ州、黒人の多いサウスカロライナ州へと舞台を移す。
ウォーレン上院議員とバイデン前副大統領は態勢の立て直しを迫られる結果となった。
この日の注目点を5つのポイントにまとめた。
1.サンダース氏に念願の勝利
ニューハンプシャー州でサンダース氏に必要だったのは、とにかく勝つこと。同氏はその目的を果たした。
接戦ながらもはっきりとした数字で結果が出た。アイオワ州ではかなわなかったテレビでの勝利宣言が、資金を呼び込む効果を発揮することは間違いない。
そして次のネバダは、同氏が序盤4州の中でも特に期待をかけている州だ。
サンダース陣営に気掛かりなことがあるとすれば、2位以下との差が小さかった点だろう。ブダジェッジ、クロブシャー両氏の健闘ぶりは、党内の穏健派が簡単に降参するはずはないという現実を見せつけた。
一方でサンダースにとって、ライバルの中道派に複数の有力候補が残っている状況は、かえって有利に働くとも考えられる。中道派ではもう1人、ブルームバーグ前ニューヨーク市長も来月3日のスーパーチューズデーから参戦することになっていて、票の奪い合いがさらに激しくなるかもしれない。
予備選当日のイベントで支持者の声援にこたえるサンダース氏/Drew Angerer/Getty Images
2.ぴったり後ろにつけたブダジェッジ氏
ブダジェッジ陣営はサンダース氏のすぐ後に続くことを狙い、やはりその目的を果たした。
同氏はアイオワ州で予想外の勝利を収めた後、7日に開かれたニューハンプシャー州での討論会ではライバル候補から集中砲火を浴びていた。それでも攻撃をはね返し、穏健派の共感を呼ぶことができるという力を見せつけた。
ただしブダジェッジ氏の前にはこの後、厳しい戦いが待ち受けている。同氏はこれまで中南米系や黒人層の支持が得られないという弱点を指摘され、まずアイオワとニューハンプシャーの勝者になることが最高の戦略になると主張してきた。その主張が正しかったかどうか、実際にネバダとサウスカロライナで試す時がきた。
3.クロブシャー氏がベスト3入りの快挙
クロブシャー氏はこれまでの討論会でも何度か高い評価を得てきたが、ニューハンプシャー州予備選を間近に控えた7日の弁舌は特に見事だった。これを票につなげる形で、予備選のベスト3に入る成果を挙げた。
下馬評を覆し、3位に食い込む健闘を見せたクロブシャー氏/Scott Eisen/Getty Images
11日に壇上に立ったクロブシャー氏は、当初は7日の討論会に参加することさえできないとの予想もあったことに言及し、「カムバック」を宣言した。
同氏の課題は、この勢いを今後どのように維持するかにある。ネバダやサウスカロライナに組織基盤を持たず、スーパーチューズデーの主要州に重点を移し始めたばかり。ブダジェッジ氏と同じく、中南米系と黒人層に人気がないのも弱点だ。
4.ウォーレン氏とバイデン氏には試練の夜
ウォーレン氏とバイデン氏はそれぞれ4位、5位と予想外の敗北を喫し、代議員獲得に必要な15%の得票率にも届かなかった。
ウォーレン氏はこの日、バイデン氏に批判の矛先を向け、同氏がブダジェッジ氏やサンダース氏への攻撃を強めても党を分断させるばかりだと主張。自分が最後に残るために党を焼き払ってもいいのかと迫り、「派閥主義に陥っている場合ではない」として本選に向けた団結を訴えた。
4位と不本意な結果に終わったウォーレン氏/Scott Olson/Getty Images
一方、バイデン氏はニューハンプシャー州での結果を待たず、黒人票が期待できるサウスカロライナ州へ移動していた。これほどの敗北は予想していなかったかもしれないが、苦戦は間違いなしと読んで自家用機に飛び乗ったのだ。
州都コロンビアでの集会にテレビは設置せず、ニューハンプシャーの開票速報を聞いて参加者が席を立つような場面もなかった。
「本選で勝てる候補」を掲げていた同氏だが、序盤の苦戦で頼みの非白人層が離れてしまう事態を防ぐことができるかどうか、厳しい対応を強いられそうだ。
5.選挙戦から撤退する候補も
ニューハンプシャー州の結果を受けて、全国民への最低所得保障制度を掲げていた実業家のヤン氏と、ベネット上院議員がそれぞれ指名獲得レースからの撤退を表明した。
パトリック前マサチューセッツ州知事も「この結果を振り返り、明日の朝には今後のことについて決断を下す」と、撤退の可能性を示唆した。