バイデン氏が3州の予備選で全勝、選挙結果から見える4つのポイント
(CNN) 米大統領選の民主党候補者選びは17日、アリゾナ、イリノイ、フロリダの3州で予備選が実施され、いずれも中道派のバイデン前副大統領が左派のサンダース上院議員を抑えて勝利を確実にした。バイデン氏の優位が決定的となったこの日の注目点を、4つのポイントにまとめた。
1.本選へ焦点を移したいバイデン氏
新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて、バイデン氏は17日夜、大規模集会での勝利宣言を控え、デラウェア州の自宅から演説をストリーミング配信した。候補指名争いに終止符を打ち、トランプ大統領との対決に党の焦点を移そうとする内容だった。
バイデン氏はこの中で、サンダース氏とは「戦術で意見を異にするかもしれない」とする一方、医療保険制度や所得格差、気候変動などの分野で「同じ使命を共有している」と強調。サンダース氏と支持者らの「素晴らしい情熱と粘り強さ」をたたえ、同氏を支持する若者らに向けて「皆さんの声は聞こえている。何が最大の問題で、私たちは何をしなければならないのか、私には分かる。私たちの選挙戦の目標、大統領候補としての私の目標は、党をひとつにすること、そして国民をひとつにすることだ」と訴えた。
この言葉はサンダース陣営への和解の申し出であると同時に、バイデン氏自身が直面する政治的現実の反映でもあった。若年層から十分な支持が得られていないという現実だ。これを変えるためには、サンダース氏の協力を取り付けるのが近道だろう。
2.深まる敗色から目をそらすサンダース氏
サンダース氏は集計結果が出る前に、バーモント州の自宅からストリーミング配信で演説した。この日の予備選には一切言及せず、新型ウイルス問題に脅かされる労働者世帯への支援を専ら訴えた。
サンダース上院議員は演説で予備選の結果にはふれなかった/Gabriella Demczuk for CNN
「危機に対して団結する必要がある」と呼び掛け、「何千万人もの労働者に襲いかかる経済崩壊」に備える必要があると述べて、演説を終えた。
3.サンダース氏に強まる撤退圧力
サンダース氏が党候補に指名される可能性は急速に遠ざかっている。支持者らは、同氏がそれでも指名レースにとどまることで、バイデン氏を左派寄りの軌道に引っ張ることができると期待する。
だが党内には、2016年大統領選でサンダース氏の撤退が遅れ、予備選が長引いたことへの反省を生かそうという声も多い。
イリノイ州シカゴの投票所。バイデン氏の3勝を受けて、サンダース氏に対する撤退圧力が強まる可能性がある/Kamil Krzaczynski/AFP/Getty Images
オバマ前大統領の選挙参謀を務めたデービッド・アクセルロッド氏はCNNとのインタビューで、「これで終わった。選挙は今夜で終わりだ」と言い切った。
4.投票の実施自体を問題視するサンダース陣営
この日に予備選が予定されていた州のひとつ、オハイオ州のデワイン知事は、新型ウイルス感染拡大への対応措置として、直前に投票の見送りを決めた。デワイン氏は共和党の知事だが、この決断を民主党のサンダース派が称賛するという奇妙な構図が現れた。
サンダース氏の支持者らは新型ウイルスを理由に、17日の予備選をそもそも実施するべきではないと主張した。サンダース氏自身も15日、投票所に配置される高齢の職員の感染リスクに懸念を示していた。
同氏を支持する左派の政治団体「ジャスティス・デモクラッツ」のトップ、アレクサンドラ・ロハス氏はCNNに、「何百万人もの国民の命が危険にさらされているパンデミックのさなかに、民主党指導部が予備選を進めるのは責任放棄のように感じられる」「オハイオの決断は正しかったと思う」と語った。
だが民主党内では、これをレースの引き延ばしを図る戦略とみる声も強かった。バイデン氏を支持するマコーリフ前バージニア州知事はロハス氏の主張に対し、「南北戦争でもスペイン風邪でも第2次世界大戦中も、投票は延期されなかった。人々は憲法上の権利の行使を望んでいるのだ」と反論した。