与野党が220兆円の景気策めぐり攻防、審議は平行線 米
(CNN) 新型コロナウイルス感染拡大の悪影響を抑えるため、トランプ米政権と与党・共和党が成立を目指す大規模な経済対策に野党・民主党が反発を示し、上院での採決を阻止している。
新型ウイルスの影響で株価が急落し、失業率の大幅な上昇が懸念されるなか、上院では総額2兆ドル(約220兆円)規模の経済対策法案が審議されている。
民主党はこの法案について、企業の救済ばかりが重視され、労働者への支援が不十分だと批判。2008年の金融危機を受けてブッシュ共和党政権下で創設された救済プログラムが、7000億ドルの公的資金を投じて金融機関を救済し、労働者を置き去りにした失敗を繰り返すべきではないと主張する。
上院では22、23日の2回にわたり、法案の採決へ進む動議が民主党の反対で否決された。民主党のブラウン議員は23日の審議で、「国民が望んでいるのは企業やウォール街、航空会社の救済ではない」「救済策を実施するなら、その金は労働者に届けるべきだ」と述べた。
これに対して共和党のスーン院内幹事は、2兆ドルのうち1.2兆ドルは個人や世帯、医療従事者や病院、失業者への支援だと強調。年収7万5000ドル以下の個人に現金1200ドルを支給するほか、失業保険制度に2500億ドル、中小企業の雇用確保に3500億ドルの資金をあてると説明した。
民主党は航空会社などに対する5000億ドルの融資計画が盛り込まれたことも批判しているが、スーン氏は「1日ごとに経営が悪化し、雇用削減を強いられる業界を存続させるためだ」と述べた。
23日の審議は平行線をたどったまま、両党の幹部が報道陣の前で、互いの「政治的な点数稼ぎ」と「責任放棄」への非難を繰り返した。
上院では共和党のポール議員が新型ウイルス検査で陽性となり、同党のロムニー、リー両議員が予防的措置として自主隔離を宣言。長引く審議での感染を懸念する声も上がり始めている。