健康な39歳のDJ、新型コロナで死去 妻と娘が伝えたいこと
(CNN) ニコール・ブキャナンさんは夫にさよならを告げることさえ許されなかった。
米フロリダ州でDJとして活動していた夫のコンラッド・ブキャナンさん(39)は、3週間前まで健康で元気そのもの。娘とダンスをするのが楽しみだった。
しかし、3月14日になって体調不良を訴え始めた。ニコールさんは夫に新型コロナウイルスの検査を受けてもらおうとしたものの、当局から拒否された。まだ年齢が若く、基礎疾患がないからという理由だった。
コンラッドさんの容体が悪化の一途をたどったことから、22日には車で夫を病院に連れて行った。車から降ろされた夫は直ちに挿管された。
その後、ニコールさんは車を止めに行った。夫の姿を見ることは二度となかった。
「入り口に歩み寄ったが、病院は封鎖されていた。誰ひとり中に入れようとはしなかった」「愛してると伝えることもかなわなかった」(ニコールさん)
コンラッドさんの死は、新型コロナウイルス感染症の厳しい現実を浮き彫りにしている。誰ひとりとして感染を免れることはできず、若く健康な人でも死亡する可能性がある。
ニコールさんは「深刻な事態だと皆さんに知ってほしい」「基礎疾患のある高齢者しか影響を受けないと思われているが、それは違う」と涙ながらに訴える。
ニコールさん自身も検査で陽性が判明した。重症ではないというが、味覚や嗅覚(きゅうかく)を感じなくなった。
娘のスカイさんは検査結果待ちの状況。父親を失った喪失感は計り知れないという。
「お父さんとは何でも一緒だった」「学校やバレエに連れて行ってくれた。私にとって全てだった」