米NY州、火葬場での遺体の処理追い付かず 州外に搬送も
(CNN) 新型コロナウイルスの感染拡大によって多くの死者が出ているニューヨーク州で遺体の火葬場での処理が追い付かず、一部の遺体を州外に搬送する事態となっている。
ニューヨーク州の葬儀業者の団体「NYSFDA」のエグゼクティブディレクター、マイク・ラノッテさんによれば、マンハッタンやブルックリン、ロングアイランドといった州南部の火葬場の負荷を軽減するためボランティアが活動している。
デーブ・ペネペントさん(58)もそのうちの一人で、複数の葬儀場と連携し、地域外にある火葬場へと遺体を搬送している。
ニューヨーク州立大の准教授でもあるペネペントさんは4月のはじめ、4人の学生とともにボランティアのグループを結成した。ペネペントさんは「近親者をなくした遺族に手を差し伸べたかった」と語る。
ペネペントさんのチームは、イースター(復活祭)の週末に70人の遺体を地域外にある火葬場へと搬送した。
過去1週間に搬送した遺体は150人を数え、今週は200人から250人の遺体を搬送するとみている。そのうちの大部分は、コネティカットやバーモント、ペンシルベニアといった州外に搬送される見通しだという。
ペネペントさんによれば、ニューヨーク市にある火葬場はわずか5カ所、ニューヨーク州でも48カ所しかなく、長期的にはこの点を改善する必要があるという。
ペネペントさんの試算によれば、遺体を州外の火葬場に搬送する費用は、搬送者のガソリン代や宿泊費、食費などで約25ドルかかる。
ペネペントさんは賃金を受け取っていないとし、愛した人が安らかに眠っていることを知って遺族が追悼を始められるようになることを知ることが自分にとっての報酬だと語った。
ペネペントさんは今年の夏一杯は遺体の搬送作業が続くとみており、活動を維持するために民間からの寄付を希望している。